年間800食以上プリンを食べる会社員でプリン研究家/プリンジャーナリストのプリン王子が、全国を回って食べ歩いた「愛しのプリン」を紹介します。
プリン王子の愛しのプリン
プリン研究家、プリンジャーナリストとしてメディアで活躍するプリン王子こと池畑孝資さんが、毎日食べているプリンの中から今オススメのプリンを紹介。今回は町田にある“遠くてもわざわざ行きたい”カフェです。
教えてくれる人
プリン王子・池畑孝資
年間800食以上プリンを食べ、プリン王子として活躍する会社員。全国津々浦々食べ歩いたプリンをInstagramなどで発信している。メディア出演も多数。
都心から離れていても行きたくなる「beans farm」
新宿駅から小田急線に揺られて約30分の鶴川駅。そこからさらにバスに乗って行った場所に「beans farm」というカフェがあリます。ログハウス風の外観にテンションが上がりますね。
店内はあたたかみのあるウッド調の空間が広がっていて都会の喧騒を忘れるような静かな時が流れています。このカフェは都心からやや離れていますが、毎月多くの人がここのプリンを求めてやってくるのです。
ここは東京でも特にプリンに力を入れたカフェと言っても過言ではなく、プリンの枠組みをぐっと広げる遊び心あふれるプリンを生み出し続けています。プリン好きの間では知らない者はいないほどの人気店なのです。2024年のトレンドスイーツ「のっけプリン」も複数楽しむことができます(のっけプリンとは、従来のプリンの上に何かのせたものではなく、他のスイーツや果物の上にプリンがのったスイーツ)。
食べられるのは運次第? 店主の「きまぐれマフィンのっけプリン」
「きまぐれマフィンのっけプリン」は、名前のとおり店主の気まぐれでマフィンを焼いた時のみ現れるレアメニュー!仕込みの関係上1回の仕込みで6個までしか作ることができず、売り切れたり、途中で数が少なくなったりしたら、気まぐれで焼き上げて提供するのだとか。
ほっかほかのマフィンの上に大胆に硬めのプリンがのせられ、その上にさらにアイスクリームがのった豪華なプリンです。アイスクリームは、新丸子にあるアイス専門店「BIG BABY ICE CREAM」のものを使用。マフィンと合うようブラウンシュガーナッツフレーバーとなっており、ナッティー感とクリームチーズを使用したプリンのコク、そして、マフィンの優しい甘さがベストマッチ! マフィンにプリンのカラメルとアイスがしみ込んで極上のうまみを堪能できます。
オーダーが入ってから焼き上げる「フレンチトーストのっけプリン」
続いて「フレンチトーストのっけプリン」は、オーダーが入ってからフレンチトーストを焼き上げてくれます。アパレイユに一晩じっくり浸したパンを、バターを引いたフライパンで焼き、オーブンで加熱。
贅沢に2つのフレンチトーストを重ね、さらにその上にプリンとアイスをのせることで完成します。高さがあってかわいい!
外側はカリッと、中はふわっとしたあったかいフレンチトーストの上品な甘さとクリームチーズ入りのプリンのむっちり感、ひんやりとしたミルクアイスの風味豊かな味わい。言わずもがな絶品です。
別添えのメープルシロップをたらりとかければそこはもう天国。うますぎる……。
原点にして頂点? 「メニューにない、メニュー。」
最後は「beans farm」の人気に火をつけた「メニューにない、メニュー。」。なんとも興味をそそる名前です。その名のとおり、メニュー表にはのっておらず、知っている人しか頼めないメニューになっています。
運ばれてきた瞬間に驚愕!プリンの上にコーンアイスがズドンと鎮座しているではないですか。斬新すぎるビジュアルに胸を躍らせながらプリンを楽しみます。
プリンのコクとアイスのミルキーな甘さ、そして苦めなカラメルとのコントラストをしっかり堪能できて満足感がすごい。“映え”だけとは言わせないしっかりおいしいプリンなんです。
今回は店主である朝倉さんに色々とお話を伺いました。
プリン王子「『beans farm』を営む上で力を入れていることなどはありますか?」
朝倉さん「当店は都心から近いとは言えない立地のため、どうしてもお客様に足を運んでもらえるようなものが必要だと思っています。もちろんいつも利用してくれている近場の方々はいらっしゃるのですが、より多くの方に楽しんでもらえるようなことをよく考えていますね」
プリン王子「『メニューにない、メニュー。』が出た時にすごいプリンを作られたな、と感じました。こんなすてきなプリンなら遠くでも食べに行きたくなっちゃいますよ」
朝倉さん「ありがとうございます。Instagramで集客をしたいといろいろ画策した結果、この投稿を見せるか、メニュー名を知っている人のみ頼めるメニューを作りました。そうすることでお店のInstagramを見てくれたり、気にしてくれたりするようになるかなと」
プリン王子「『beans farm』はお父様から引き継いだお店だと思うんですが、プリンは当初からあったんですか?」
朝倉さん「プリンは自分の代から出したメニューで、そこからいろいろと試行錯誤して今のプリンとなりました。お店をリニューアルオープンした4年半前に、コーヒーのお供になるスイーツを出そうと思ったのがきっかけです。プリンにまつわるメニューはたくさんありますが、ベースのプリンはこの1種類のみとなっています」
プリン王子「本当に『beans farm』さんのプリンはどれも目を引くような圧巻のビジュアルのものが多いですが、どれもしっかりおいしいですよね! こだわりの強さを感じます。今まで本当にたくさんのプリンを食べてきましたがプリン単体もトップクラスにおいしいと思っています」
今の時代、おいしいものを作るだけでは世の中に知ってもらえないことも。せっかく作ったおいしいスイーツも知られることなく店をたたむことになる飲食店が多くあります。知ってもらえる努力もまた同様に必要。そんな努力をされた結果うまれたのが「beans farm」のプリンたちでした。
これらのスイーツに対して「映えだけでしょ」と揶揄する人も一定数いますが、声を大にして、そんなことはないとここに宣言します! 大前提にあるのはお客様に喜んでもらいたいという思い。お父様の代から受け継がれたのは、すてきなお店とすてきな思いです。ぜひ、「beans farm」自慢のプリンを食べに行ってみてください。
<店舗情報>
◆ビィーンズファーム
住所 : 東京都町田市大蔵町468-6
TEL : 042-736-1918
※価格は税込。
文:池畑孝資、食べログマガジン編集部
撮影:佐藤潮
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