憧れのタワーマンション暮らしをスムーズに送るために知っておきたい心得とは?(写真:shimi / PIXTA)

近年、都心では大規模再開発が続き、2024年も多くのエリアで新たな事業が進められている。また2025年の万博開催に向け、関西エリアでも再開発の動きが活発化している状況だ。

このような開発の象徴的存在、ランドマークとなるのがタワーマンション(以下、タワマン)だろう。

利便性の高いエリアにあるタワマンは眺望の良さはもちろん、ラウンジやパーティルーム、ジムなどの豪華な共用施設、コンシェルジュの常駐など充実したサービスが魅力だ。

さらにセキュリティレベルの高さなど、「住まい」としての快適さや安全性で多くのメリットを備え、その資産価値も含めて人気は高まるばかりだ。

一方で、一般的なマンションや戸建て住宅とは異なるからこそ、気をつけたいタワマンならではのルールも存在する。今回はタワマンでの暮らしをより充実させる「7つの心得」をご紹介したい。

トラブルになりやすいゴミ出し

心得その1:ゴミが回収されるタイミングを逃さない

タワマンには、生活するうえで便利な機能やサービスが用意されている。

たとえばゴミ出しについては、24時間いつでも捨てることができる。各フロアにゴミ捨て場(ゴミステーション)が設置されているマンションが多いため、通常のゴミであれば部屋からすぐに捨てに行けるのだ。

集められたフロアのゴミは、清掃スタッフにより順次回収されていく。多くの場合、上階から下りてくる形で回収されるのが一般的だ。

たとえば8時から清掃スタッフが回収をスタートする場合、自分の住むフロアは何時ごろ回収に来るのかを把握しておくようおすすめしたい。

回収直後にゴミを出してしまったら、次の回収までそのままとなり、悪臭発生につながるおそれがあるためだ。

タワマンの多くは、建物内部に廊下が設置されている「内廊下式」の構造を持つ。そのため臭いや湿気などが発生すると逃げ場がなく、脱臭装置がついている場合でも内部にこもりやすい。

ゴミ置場はエレベーター近くに設置されることも少なくないため、エレベーター待ちの間、不快な臭いに悩まされることになりかねない。ゴミ回収の時間・回数をきちんと把握し、ルールを守って出すよう努めたい。

共用部の使い方に配慮を

心得その2:「置き配」はルールを守って利用を

「置き配」は通販で購入した商品などを受け取る際、事前に指定した場所(ドア前など)へ荷物を置くなど、非対面で利用できるサービスを指す。

コロナ禍以降、宅配ボックスへの配達やコンシェルジュによる受け取りなどと同じく、受け取りの選択肢として定着してきた。

便利な置き配も、利用の仕方次第ではトラブルの種になってしまう。

実際、「置き配を頼んだのを忘れ、長期間家を空けたら荷物が紛失した」「共用部分が荷物で占拠され、通行を妨げている」「フードデリバリーの置き配を依頼したものの、受け取り忘れて食べ物が腐敗している」といったトラブル事例を数々見聞きする。

このようなトラブルが多発すると、ほかの住民との信頼関係にも悪影響を及ぼしかねない。

置き配を利用する場合はまず、居住するマンションの管理規約を確認することをおすすめしたい。仮にルールが制定されていない場合は、あらためて理事会へ提言してもよいだろう。

心得その3:共用部に物を置く際は事前に確認

マンションによっては、玄関前のポーチやアルコープ(アルコーブ)といったスペースが設けられている場合がある。こういった部分に、高級自転車などの私物が自由に置かれているケースもある。

しかしポーチやアルコープは、廊下と同様にマンションの共有スペースでもある。ほとんどの場合、「専用使用権」という形で、どんな物なら置いてもいいのか、どこからどこまで置いてもいいのかが管理契約や使用細則に定められている。

特に共有部分は、火災などの発生時の避難経路となるため、私物が避難経路をふさいでしまうことを避けなくてはならない。

そもそも共用部分には物を置くことができるのかどうか、置ける範囲はどうなのかをしっかりと確認する必要がある。

心得その4:ペットの飼育はルールとモラルを守って

タワマンをはじめ、多くのマンションで「ペット可」の物件が増えている。

ただしどんなペットでも認められるというわけではなく、マンションの管理規約や使用細則で定められたルールのもと、飼育していく必要がある。

具体的には、次のような内容が決められていることがほとんどだ。

●ペットの大きさ(体長)や体重の制限
●ペットの種類や数
●タワマン内で飼育するペットを把握するため、届出や登録の方法、ルール
●専有部分・共用部分での約束事(共用部では抱きかかえる、予防接種を受けさせることなど)
●禁止事項やルール違反をした飼い主への対処法

タワマン住民の中には、動物が苦手な人もいる。愛するペットと暮らすために選んだタワマンで、ほかの住民と対立が生まれてしまうのは本末転倒だ。

ペットと快適に暮らすためにも、ルールを守り、適切なモラルのもと行動することが求められる。

コンシェルジュはどう利用する?

心得その5:駐車場・駐輪場の希望を出しておく

駐車場・駐輪場は、「平置き」を希望する方も多いのではないだろうか。

しかし人気の区画は空きがないことも少なくない。希望の区画に入りたい場合は、あらかじめ先着順のウェイティングリストに申し込みをし、順番待ちという形を取ることがおすすめだ。

入居時に車や自転車などを所有していなくても、後々使用する可能性があるなら早めに申し込んでおきたい。

心得その6:コンシェルジュを頼りすぎない

充実した設備・サービスが利用できるタワマン暮らしで、心強いのはコンシェルジュの存在だろう。

来訪者対応や共用設備の予約、宅配便の預かりやクリーニングの取り次ぎなどさまざまな対応を行ってくれる。

外出時、帰宅時などの声かけはコミュニケーションとしてだけでなく、不審者がいないかどうかを見守るセキュリティ的な意味合いも持つ。

ついつい頼ってしまいがちだが、コンシェルジュはマンション「全体」のサポートを行ってくれる存在であることを忘れてはならない。

たとえば専有部分の不具合確認を依頼したり、クリーニングの依頼時に個別に住戸まで届けてもらったりすることは「私的利用」と見なされ問題となる可能性もある。

サービスとしての対応範囲をあらかじめ確認し、頼りすぎないことも心得として挙げておく。

入居したら管理組合活動に関心を

心得その7:管理組合活動に関心を持って参加する

最後のポイントとして、管理組合活動に関心を持つことを推奨したい。

そもそも区分所有のマンションになった時点で、管理組合は設立している。マンションによって少し差はあるものの、引き渡しが終わった5〜6カ月後のタイミングで設立総会が開催され、予算の承認などが進められていく。

「入居したばかりだし、1期目は理事を見送ろう」と考える方も多いかもしれない。しかし管理組合にとって、1期目は大きな意味を持つ。

マンションでは2年目まで、定期点検という形で分譲会社のアフターサービスを無償で受けることができる(2年目以降もアフターサービスは続くが、分譲会社が定期点検を行う期間は2年目までが多い)。

2年目までの定期点検を最大限有効活用するために、利害関係のない第三者による点検を行うためには、総会で決議を取る必要がある。

理事会の対応がうやむやなままでは、いざ何かあったときに対応できず、気づいたら保証期間内の2年を過ぎてしまっていた、ということにもなりかねない。

ここでしっかり対応しておけば、後々やってくる大規模修繕工事を延期できる可能性も高くなり、引いては修繕積立金の軽減にも役立つ。

その意味で、マンション全体の資産価値向上にも影響する、大切な1期目。

新生活スタートと同時に自ら理事に立候補することこそ、タワマン生活を充実させる最大のポイント、心得であるとお伝えしておく。


(長嶋 修 : 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長))