闇雲に勉強を始める前に「学びの前提知識」を学ぶことで、学習効率がアップするといいます(画像:mapo/PIXTA)

覚えられない、続けられない、頑張ってもなぜか成績が上がらない――勉強が苦手で、「自分は頭が悪い」と思い込んでいる人も、実は「勉強以前の一工夫」を知らないだけかもしれない。

そう話すのは、中高生に勉強法の指導をしている「チームドラゴン桜」代表の西岡壱誠さんです。

「僕も昔はこれらの工夫を知らなくて、いくら勉強しても成績が上がらない『勉強オンチ』でした。でも、『勉強以前』にある工夫をすることで、『自分に合った努力のしかた』を見つけられて、勉強が楽しくなったんです。効果は絶大で、偏差値35だった僕が東大模試で全国4位になり、東大に逆転合格できました」

西岡さんをはじめとする「逆転合格した東大生」たちがやっていた「勉強以前の一工夫」をまとめた書籍『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、3万部を突破するなど、いま話題になっています。ここでは、東大生が薦める「勉強する前に読んでおくべき本」3冊を紹介します。

成果が出ないのは「前提知識」が足りないから

「勉強しているのに、なかなか結果が出ない!」


そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか?

例えば、「こういうことを学びたい!」と考えて、本を読んだとします。でも、頑張って読んでいるのに、なかなか頭に入ってこないことってありますよね。

また、「この人の話を聞きたい!」と考えて、セミナーを受けたり授業・講座を受けたりしたとします。でも、一生懸命聞いているはずなのになぜか理解できなくて、1時間話を聞いても「結局ちんぷんかんぷんで終わってしまった」と嘆くこともあると思います。

そういう場合は、そもそもの前提知識が不足している可能性があります。必要な情報が足りていないから、学びがうまくいかないのです。漫才を見ているとき、パロディとか元ネタがわからないと笑えないネタもありますよね。前提知識がなければ漫才がわからないわけです。

勉強もそれと同じで、前提知識がないと理解できないことがあるわけです。今回は、勉強をする前に読んだほうがいい、前提知識となるような本を3冊ご紹介したいと思います。

まず1冊目は、『私たちはどう学んでいるのか』です。

『私たちはどう学んでいるのか』

タイトルのとおり、「そもそも学びとは? 学ぶためにはどうすればいいのか?」ということを語っている1冊です。認知科学という分野から、僕たちの持っている間違った学びに対するイメージを打破してくれます。


この本が教えてくれるのは、「学ぶためには、環境・行動も重要だ」ということです。

例えばこの本では、「知識は伝わらない」ということが書かれています。情報として、「いいかい、こういうもののことをリンゴと言うんだよ」と伝えることができたとしても、「目の前にあるものがリンゴなのかどうか」がわからなければ、他の場面でも有用な知識にはなりません。

そしてそのためには、普段から環境と情報を結びつけて、自分の「認知」を変えていく必要があります。ですからこの本では、「学ぶ」という言葉は使わず、「認知的変化」と表現しています。

僕はこの本を読むまで、「頭が良くなる=能力が向上する」という短絡的な思考で物事をとらえて、「人の話を聞けば頭が良くなるだろう」「努力すれば頭は良くなっていくだろう」という感覚を持っていました。

でも、実は認知科学の知見からそんなことはないということがわかり、「学ぶ」ということを再定義するきっかけを得られたと思います。

そんなふうに、みなさんもこの本を読んで「そもそも学ぶとはどういうことのか」を考えるきっかけにしてもらえれば、これからの学びに必ず生きると思います!

次は、『一度読んだら絶対に忘れない国語の教科書』です。

『一度読んだら絶対に忘れない国語の教科書』

国語というのは、本を読む読解力をつけるだけの科目ではありません。相手の話を理解し、噛み砕いて自分の知識として自分の血肉にするという意味で、「勉強する」ということそれ自体を学ぶ科目だと言えます。


さて、そんな中でこの本で書いているのは、国語においての「文法の大切さ」です。

例えば、「あなたは小学生ですか」という文があったとします。これには、2つの解釈があります。

1つは、12歳くらいの親戚の子供に対して、「ねえねえ、あなたは小学生ですか?」と聞いている場合です。こっちがオーソドックスだと思うのですが、もう1つ、明らかに小学生ではない人に対して「あなたは小学生ですか」と言う場合もありますよね? そう、相手を叱るときです。

会社で、ミスをした自分を上司が怒っていて、「こんなミスをするなんて、あなたは小学生ですか!」と言っている場面。これは、「相手が小学生ではないことをわかったうえで、小学生かのようなミスをしていることに対する怒り」をぶつけていると言えます(パワハラになるのでやめましょう)。

これを、古文の授業では「反語」という形で習うことになります。「や」「か」という言葉が付くと、「そうだろうか、いやそんなことはない」と訳すことになります。

現在の日本語では、「や」「か」などの言葉がなくても、単純な疑問文だけで反語を表すようになりました。古文の勉強を真面目にやっている人であれば、「あなたは小学生ですか」が正しく理解できるわけですね。このように、相手の話を理解するためには文法の知識が必要なのです。

国語の中でも、古文の勉強は「やりたくないもの」「やっても意味のないもの」というイメージが持たれていますが、こんなふうに考えると、やる意味が見えてきます。

勉強の骨組みを作ってくれるのが、国語であり、古文の勉強だということです。ぜひ本書でこの点を勉強してみてください!

最後は、『イシューからはじめよ』です。この本は、「考えているようで考えていない」という状態に対して活を入れてくれる1冊です。

『イシューからはじめよ』


本書では、「悩む」ということと「考える」ということを切り分けて説明しています。悩むというのは、答えの出ないことに対して時間をかけて思考を巡らせることで、考えるというのは、問題があってその答えを出すために思考することです。

僕たちは、「悩んでいる時間」を「考えている時間」と定義しがちです。「こんなに考えているのに答えが出ない!」というときって、大体、「悩んでいるだけ」で「何に白黒をつけなければならないのかがわかっていない状態」なんですよね。

本書では、そんな状態ではいけないということで、本当に解決するべき問い=「イシュー」を考える思考を教えてくれます。

この本を読むと、最初にお話しした「勉強しているのに結果が出ない状態」を脱却できる可能性が高くなります。相手の話を聞いているつもりなのに聞けていない・理解できていない状態というのは、相手がどんなイシューを持っているのかを明確にできていない可能性があります。

「この問いに対して、こんな説明をしている」というその「問い」を理解しないままに話を聞いているから、右から左になってしまうわけです。だからこそ本書で「イシュー」をしっかりと学ぶことで、どんな話に対しても理解度が大きく向上することと思います。

いかがでしょうか? 何かを学ぶ前にはぜひ、これらの本を読んで、これからの学びに生かしてみてください!

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)