【AFP=時事】(更新)陸上マラソン男子の世界記録保持者ケルビン・キプタム(Kelvin Kiptum、ケニア)が、ケニア西部で発生した交通事故で死亡した。地元警察が12日、発表した。

 当局によると、11日午後11時ごろに発生した事故で24歳のキプタムとコーチのガルベ・ハキジマナ(Gervais Hakizimana)氏が亡くなり、同乗者が負傷して病院に搬送された。

 キプタムは昨年10月に行われたシカゴ・マラソン(Bank of America Chicago Marathon 2023)で2時間0分35秒の世界新記録を樹立していた。

 エルギョマラクウェット(Elgeyo Marakwet)郡の警察は、報道陣に対して「乗車していたのは3人で、2人はその場で死亡し、1人は病院へ搬送された。死亡した2人はキプタムとコーチだ」とコメント。「車はキプタムの運転でエルドレット(Eldoret)へ向かっている最中、コントロールを失ってひっくり返った。乗っていたもう一人の女性は負傷して緊急搬送された」と明かした。

 ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は「悲惨な損失を知り驚き、悲しんでいる」と発表し、「ワールドアスレティックスの全員を代表して、ご家族と友人、チームメート、ケニアに心からお悔やみ申しあげる」と悼んだ。

 キプタムはシカゴマラソンで、同胞エリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)の記録を34秒上回る世界新記録をマーク。シカゴマラソンで世界記録が出るのは1999年以来3回目で、当時まだ23歳のキプタムは3回目のマラソンだった。その後はレース出場がなかったが、ワールドアスレティックスによれば、4月のロッテルダム・マラソン(Rotterdam Marathon)を走る予定で、公認記録では史上初となる2時間切りを目指していたという。

 コーチのハキジマナ氏とは10年前、チェプコリオ(Chepkorio)村でヤギやヒツジの世話をしていた10代の頃に出会い、当時ケニアでトレーニングしていたハキジマナ氏らの後を追いかけて走っていた。

 2019年に2週間で2回のハーフマラソンを走り、60分38秒と59分53秒の記録を出すと、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でケニアにとどまっていたハキジマナ氏とともに練習するようになっていた。

【翻訳編集】AFPBB News

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