例年、長期休み明けに「学校に行きたくない」と訴える子どもが増えます。「冬休み」も例外ではありません。そもそも、長期休み明けに子どもが学校に行きたがらなくなるのはなぜでしょうか…。教育アドバイザーで、「勉強のやり方」を教える塾プラスティー代表の清水章弘さんに、子どもが「学校に行きたくない」と言い出した場合の、親の“NG行為”や対処法について聞きました。

“無言のプレッシャー”に注意

Q.例年、長期休み明けに「学校に行きたくない」と訴える子どもが増えるようですが、なぜでしょうか。考えられる理由について、教えてください。

清水さん「もちろん人によって違いますが、長期休み明けに増える主な理由は『変化が大きいから』といえるでしょう。年始のゆったりした時の流れから、一転して日々の喧騒に身を置くことになります。朝型の生活に切り替えが難しいだけでなく、対人関係や学習などがうまくいくか、不安がつのっているということもあります。実際、文部科学省の発表によれば、不登校の要因で最上位にくるものは『無気力、不安』になっています」

Q.「学校に行きたくない」と感じやすいのは小学生、中学生、高校生でどのぐらいの比率なのでしょうか。詳しい学年についても教えてください。

清水さん「文部科学省の調査によると、令和4年度の不登校児童生徒数は、小学校が59人に1人、中学校が17人に1人、高校が50人に1人です。学年別にデータが公表されていますが、小1から少しずつ増え続け、中2〜中3まで、学年が上がるにつれて増加します。中2で7万622人とピークを迎え、中3は6万9544人で、中2とほぼ同数です。ただ、どの学年でも珍しくありませんので、お子さんの声には敏感になっていただきたいところです」

Q.長期休み明けに子どもが「学校に行きたくない」と訴えた場合、親はどのように対処したらよいのでしょうか。アドバイスをお願いします。

清水さん「人によって『行きたくない』と訴える理由は異なります。何かしらのシグナルではあるものの、その強さは人によって違います。まずは承認と観察をしてください。承認とは、相手の存在と感情を受け止めることです。『そうか、行きたくないのね。どうしたの?』と『受け止め+オープン・クエスチョン(回答にYES/NOなどの制限がない質問)』でゆっくりと話を聞いてあげましょう。また、その後の観察も必要です。食欲があるのか、睡眠は足りているのか、表情や発言が後ろ向きになっているかどうかを中心に見つつ、かかっているストレスの強さを観察してください。親が受け止めることによって、お子さんが自然体で過ごすことができるようになり、ふとした瞬間に本音(対人関係の不安など)を話しやすくなる下地ができます」

Q.子どもが「学校に行きたくない」と訴えた場合に親がやってはいけない行為について、教えてください。

清水さん「すぐに頭ごなしに否定することは避けてください。強さは人によって違っても、何かしらのシグナルであることは確かです。寄り添う姿勢を示すことが大切です。また、『なにがなんでも休んではいけない』という前提で話を聞いてしまうと、無言のプレッシャーを与えることになりますので、注意が必要です。

食欲や睡眠、表情の観察をお願いします。とはいえ、声かけの『さじ加減』が難しいのが現実です。困ったら、スクールカウンセラーや担任の先生などに気軽に相談するようにしてみてください」