大阪市此花区内のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」で、ジェットコースターが一時「宙吊り」状態になったと報じられ、どんな状況だったのか関心が集まっている。

写真などを見て、「逆さ吊り」だと間違った投稿も相次ぎ、不安も広がっている。そのような状況もありえるのか、運営会社に取材した。

「実際は、お客様は少し前屈みの姿勢で止まっていました」

頂上のすぐ近くで、4人乗り8列のコースターが、レールから吊り下がったように止まっている。

写真をよく見ると、客はみな、うつ伏せの状態で、頭は斜め上にある。

USJのアトラクション「ザ・フライング・ダイナソー」は、米SF映画「ジュラシック・パーク」の世界で恐竜プテラノドンに背中をつかまれて空を飛ぶという想定のコースターだ。報道によると、2023年12月14日午前10時55分ごろ、地上約40メートルの頂上付近で緊急停止した。このコースターには、定員いっぱいの32人が乗っており、スタッフがレール脇の非常階段から近づき、救助用のゴンドラに客を降ろして、階段へ誘導した。

11時40分ごろに全員が避難し、安全が確認されたとして、午後0時半ごろに運転が再開された。体調不良になったりケガをしたりした人はいなかったという。

この様子を撮った写真や動画が、停止直後からX(旧ツイッター)上に次々に投稿され、「怖いししんどいし大変だったと思う」などと客を思いやる声が次々寄せられた。その一方で、「逆さ吊り」になっていると、事実を誤認した投稿も目立ち、そうではないと背景情報の「コミュニティノート」を追加されたケースもあった。

USJを運営する合同会社ユー・エス・ジェイの広報室は15日、J-CASTニュースの取材に対し、今回の状況をこう説明した。

「器具で吊り下げられたように見えますが、実際は、お客様は少し前屈みの姿勢で止まっていました。足元に床はないですが、お腹の部分で体を固定してあります。今回は、安全確認後に、スタッフが停止後20分ぐらいからお客様を降ろし始めています」

「下り坂でブレーキがかからない設計で、過去に逆さ吊りはない」

コースターは、頭が下向きに下降していくが、客が「逆さ吊り」状態で停止することは否定した。

「最初に、高いところに機械で持ち上げて、そこから自由落下させて、走り切っていきます。下り坂のブレーキでロックされるとダメージが大きいので、そうされることはありません。ブレーキがかかるのは、上り坂と下車の直前だけです。その間は、ブレーキがかからない設計になっています。過去に、逆さ吊りになったことはありません」

今回、コースターが緊急停止した原因については、こう説明した。

「安全装置が作動し、安全を確保する作業として止まりました。事故が起こったわけではありません。安全システムがセンサーで管理されており、風や虫などをセンサーが感知することがまれにあります。問題がなくても、あるかもしれないと検知すれば、コースターが止まります。実際に、止まることは1日1回程度あり、ただ、長い時間がかからずに運行が再開されます」

なお、このコースターは、18年5月に高さ30メートルで停止し、最大約2時間かけて避難させるなど、過去に何度か緊急停止したことがある。

コースターの緊急停止について、大阪府警の此花署は12月15日、取材に対し、「110番通報が入っていませんので、出動していません。ケガ人や死者が出れば別ですが、事件・事故としては扱っていません」と答えた。大阪市の此花消防署も同日、「要請がありませんでしたので、出動していません。USJ職員の方だけで点検用の階段を使って救出したことになります。過去にも出動したことはありません」と取材に話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)