女優の仲里依紗さんや吉高由里子さん、「サザンオールスターズ」「Perfume」などのアーティストが所属する大手芸能事務所「アミューズ」の法務部は12月14日、X(旧ツイッター)で、同社の社員や関係者をかたる「にせもの」「なりすまし」のスカウトに関する通報が増えているとして、注意を呼びかけた。

学生らの冬休み時期にあわせたもの。芸能界における契約トラブルをめぐっては、国民生活センターも警鐘を鳴らしている。

●偽スカウトは「ホテル」などに呼び出すことがあるという

アミューズ法務部のアカウントは、偽スカウトが使う言葉の「例」も紹介したうえで、同社がスカウトする場合は、そのような言葉は「言いません」と明言している。

【偽スカウトが使う言葉の例】

・今日は休日だから、名刺も社員証も持っていない。

・今回のスカウトは極秘プロジェクトだから、アミューズに問い合わせても、会社の人は僕のことは知らないととぼけるかもしれない。

・僕はアミューズさんのトップから頼まれたプロのスカウトなので、アミューズの名刺や社員証はない。アミューズさんの平社員は、僕のことは知らない。

・アミューズに問い合わせるのなら、君は終わり。スカウトである僕のことを信用してくれないということになるから、僕も君を信用できない。

さらに、こうした偽スカウトは、渋谷にあるアミューズ東京オフィスで待ち合わせの約束をしながら、予定の直前になると、理由をつけて、ホテルなどの「別の場所に呼び出す」こともあるという。

同社は、このような悪質な行為をしていないと強調したうえで、少しでも怪しいと感じた場合は、同社の問い合わせフォームに通報してほしいとしている。

通報を受けた同社社員が実際のスカウト担当によるスカウトかどうか確認をすすめるそうだ。「ですから、通報への当社からの返信があるまでは、指定された場所に行ったりしないでください」(Xの投稿)

アミューズは、公式サイトでもスカウト活動における遵守事項を公開している。

・スカウトは必ず社員証(写真入)を携帯かつ提示します。

・スカウトの説明は必ずご本人様に迷惑のかからない街頭および当社本社ビルに限ります。

・未成年者の方に対するスカウトは、必ず保護者様にご連絡の上、面会を行い、まずは保護者様にスカウト内容を説明いたします。尚、面談後のすべての活動は保護者様のご了解を得た上で行います。

・スカウトは金品そのほかを要求することは一切ございません。

・スカウトはその場で契約書などに署名捺印を求めることは一切ございません。

・2020年4月1日現在、WEBサービス(SNS含む)上でのスカウト活動は一切行っていません。

●国民生活センターも「要注意」

芸能界におけるトラブルをめぐっては、国民生活センターも12月に入って、「【20代要注意!】タレント・モデル契約のトラブル」と注意喚起したばかりだ。

実際にあった消費者被害(20代の女子大学生)として、インターネットのタレントオーディションのネット広告を通じて、面接を受けたところ、すぐに「合格」とされたものの、有料のマネジメント契約が必要として、高額な金を支払ったうえ、契約解除にはさらに高額な違約金をもとめられたケースがあったという。

消費者の「夢」や「憧れ」に漬け込んだ手口とみられる。長期休みの前に、家族や友人同士で話題にしておくとよいかもしれない。