惑星は”惑う星(まどうほし)”という意味だが、これは恒星が星座の中で見かけの相対的位置が変化しないのに対し、星座の中を不規則に移動する星として、昔の人々が恒星と惑星を区別して認識していたためだ。
【こちらも】オリオン座大星雲での惑星誕生前夜をとらえた鮮明画像 ハワイのケック天文台
浮遊惑星とは、恒星の周りを公転していない恒星以外の天体を指し、惑星とは区別されている。例えばウィキペディアによれば、2023年10月1日現在、太陽系外惑星は5,503個が確認されているが、”太陽系外惑星に加えて、恒星を公転せずに単独で存在することが多い自由浮遊惑星と呼ばれる天体も存在する。”との記述がある。ちなみに自由浮遊惑星は浮遊惑星と同義語である。またNASAは、銀河系内に浮遊惑星は恒星の20倍の数兆個も存在するとの見解を示している。
恒星を公転する太陽系外惑星の探索は、ある恒星にフォーカスすれば、その状態の微小な変化を捉えることで比較的容易に実現できる。だが浮遊惑星はフォーカスすべき恒星がなく、捜索は極めて困難だ。欧州宇宙機関(ESA)は2日、オリオン座大星雲M42に540個もの浮遊惑星候補が存在することを明らかにした。
ところで浮遊惑星には、そもそも惑星としてどこかの恒星系に属していたが、主星が何らかの原因で消滅したり、主星を周回する軌道から何らかの原因で逸脱してしまったものや、最初からどこの恒星系にも属さず誕生し、恒星になりうる質量を持たず、自ら核融合反応を起こせなかった星などが含まれる。
今回ESAの科学者が見出したのは、どこの恒星系にも属さず誕生し、恒星になることができなかった星々だが、核融合ができなかったとしても、木星と同程度の質量を持つ天体は誕生後間もない期間において、赤外線を発する特徴を持つ。
今回の研究では、ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡による近赤外線探査により、M42で木星の0.6倍までの質量を持つ540個の惑星質量候補を発見したという。M42は地球から1350光年も離れた世界だが、そこで光を発しない多数の浮遊惑星候補が一度に見つかったことは驚きだ。