イギリスのコメディアン・俳優・司会者として知られるラッセル・ブランド氏は、母国のイギリスだけでなくアメリカでも人気の高いタレントです。そんなブランド氏はチャンネル登録者数660万人超えのYouTubeチャンネルを運営しているのですが、性的暴行を働いたとの報道を受け、YouTubeが同氏のチャンネルへの広告収益の支払いを停止しました。
YouTube cuts off Russell Brand's ad revenues after sexual assault allegations | Reuters
https://www.reuters.com/technology/youtube-cuts-off-russell-brands-ad-revenues-sky-news-2023-09-19/
YouTube stops letting Russell Brand earn money on the platform - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/19/23880337/russell-brand-youtube-demonetize-channel-allegations
ブランド氏はイギリス出身のコメディアンで、派手なスタイルと容姿で知られており、2000年代にはBBCなどの主要メディアで番組やラジオの司会者を務めました。しかし、記事作成時点でのブランド氏の活躍の場はテレビやラジオといった主要メディアからソーシャルメディアに移行しており、近年はYouTubeやポッドキャストなどで多くのファンを獲得しています。
2023年9月16日、The Sunday TimesとThe Timesの二紙と、イギリスの公営放送・Channel 4のドキュメンタリー番組である「Dispatches」が、共同調査をベースに「わずか16歳の女性を含む4人の女性が、ラッセル・ブランドから性的暴行および精神的暴行を受けた」と報じました。この報道は3つのメディアが2019年から進めてきた独自の調査をベースとしたものです。
Russell Brand accused of rape, sexual assaults and abuse
https://www.thetimes.co.uk/article/russell-brand-rape-sexual-assault-abuse-allegations-investigation-v5hxdlmb6
報道によると、ブランド氏は人気絶頂のタイミングで7年間にわたり女性に対してレイプ・性的暴行・精神的虐待を働いてきた模様。この調査に協力した4人の女性は、ブランド氏がBBC Radio 4やChannel 4で番組の司会者を務めていた2006〜2013年の間に、同氏から性的暴行を受けたと語っています。この他、ブランド氏の支配的・虐待的・略奪的な振る舞いの数々が告発されました。
これに対して、2023年9月16日にブランド氏は自身のYouTubeチャンネルで「So, This Is Happening(そして、これが起こっていることです)」というタイトルの動画を投稿し、性的暴行疑惑を否定しました。
So, This Is Happening - YouTube
動画の中でブランド氏は、女性たちの告発には「非常にひどく激しい攻撃の数々と、かなり愚かな内容」が含まれていたと言及。さらに、「しかし、驚くべきバロック的な攻撃の連続の中には、私が絶対に反論するであろう非常に深刻な疑惑がいくつかあります」「これらの疑惑には私が主流派の仕事をしていた頃、つまりは新聞に常に出演していた頃や映画に出演していた頃に関するものばかりです。私が著書で書いてきたように、私はとてもとても放縦な人間でした」「不特定多数と性行為を行っていた時でも、私が行為に至ったのは常に合意を得た上ででした」などと語り、かつての自身が自由奔放な日々を過ごしていたことを認めつつ、性行為は必ず同意の上で行ってきたと説明しました。なお、ブランド氏が用いた「バロック的」という表現には、英語圏の人々からも「バロック的とは?」「何かの隠語か?」などのツッコミが入っています。
加えて、「彼女たちが私に関する暴露本などの中で、私と過去に性行為を行ったと告白することはかまいません」と述べつつ、「私が反論しているのは、重大な犯罪行為を犯してきたという告発に対してです」と語り、同意のない性行為などの性的暴行は一切行っていないと疑惑を否定しています。
この報道を受け、ブランド氏が過去に出演していたBBCのコンテンツは軒並み削除されることとなりました。ただし、BBCは削除理由を「国民の期待を下回るクオリティのため」と説明しており、ブランド氏の性的暴行疑惑については言及しませんでした。
そして新たに、YouTubeは同プラットフォームのクリエイターが守るべきポリシーとガイドラインに違反したとして、ブランド氏のチャンネルへの広告収益の支払いを停止したと発表しました。
YouTubeの広報担当者はこの判断について、「クリエイターのプラットフォーム外での行動がユーザー・従業員・エコシステムに悪影響を与える場合、我々はコミュニティを保護するための措置を講じることがあります」と説明しています。
一方で、TikTokはブランド氏の公式アカウントへの広告収益の支払い停止について、明言を避けています
なお、今回の報道を受けイギリス警察はブランド氏の性的暴行容疑について報告を受けてきたことを発表しました。警察側は「警察は被害者女性と連絡を取り、支援を行っている」と述べています。
UK police receive sex assault allegation following Russell Brand reports | Reuters
https://www.reuters.com/world/uk/uk-police-receive-sex-assault-allegation-following-russell-brand-reports-2023-09-18/
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