インドではオンラインゲームの市場が盛況で、2022年時点でオンラインゲームによる収益が約20億ドル(約2800億円)に達することが報告されていました。そんな中、2023年7月にインド政府は「オンラインゲームに対して28%の税金を課す」ことを決定し、2023年10月1日から課税が開始されることを発表しました。

Online Gaming: 28% GST To Be Implemented From Oct 1, To Be Reviewed After 6 Months

https://inc42.com/buzz/online-gaming-28-gst-to-be-implemented-from-oct-1-to-be-reviewed-after-6-months/



India Reaffirms 28% Tax Levy on Online Gaming, Casinos From October 1 - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-08-02/india-reaffirms-tax-levy-on-online-gaming-casinos



'Will set the real-money gaming industry back several years': Stakeholders after GST set at 28%

https://www.moneycontrol.com/news/business/will-set-the-real-money-gaming-industry-back-several-years-stakeholders-after-gst-set-at-28-11084541.html

28% GST on online gaming, casinos and horse racing likely to be effective from October 1 - BusinessToday

https://www.businesstoday.in/latest/economy/story/28-gst-on-online-gaming-casinos-and-horse-racing-likely-to-be-effective-from-october-1-392514-2023-08-02

インドでは国民的スポーツであるクリケットなどを題材として、リアルマネーを賭けて遊ぶ「ファンタジースポーツ」などの文化が興隆しています。しかし、ゲームアプリが依存症を引き起こしたり、経済的損失につながったりする懸念が高まっていることが指摘されています。

こうした懸念を受け、2023年初頭にインド政府は賭博サービスを提供するオンラインゲームを規制するためにIT法の改正を行いました。しかし、インド国内のオンラインゲーム開発企業は「賭博ではなくスキルベースのゲームです」と主張し、規制から逃れていました。

そこで、2023年7月にインド政府の物品・サービス税評議会(GST)が、リアルマネーを使用するオンラインゲームやカジノ、競馬に対して一律28%の課税を行うことを発表しました。

オンラインゲームに28%もの税金を課すとインド政府が決定し業界に衝撃が走る - GIGAZINE



GSTの決定に対して、一部のファンタジースポーツの業界団体やゲームアプリ開発企業からは「28%もの税率導入は、インドのゲーム業界に対して重大な課題をもたらしかねない」と主張し、決定の見直しを求めていました。

しかし、GSTのニルマラ・シタラマン財務大臣は「2023年8月2日に行われたGST評議会で、政府は10月1日からオンラインゲームに対して税金を課すことを決定しました」と報告。また「課税の開始から6カ月経過後、決定の見直しが行われる可能性があります」と述べています。

また、シタラマン氏は課税の詳細について「ユーザーがリアルマネーを用いたオンラインゲームをプレイするために入金した金額の合計に応じて28%の課税は適用され、ベットされた金額には課税されません」と報告しました。



課税の導入が発表された7月の段階では、Mobile Premier LeagueやGameskraft、Paytm First Games、Zupee、Nazara、Rushといったインドで人気のファンタジースポーツで活躍するプレイヤーを代表する業界団体・全インドゲーミング連盟のローランド・サンダースCEOは「この課税の恩恵を受けるのは反国家的な違法オフショアギャンブルのウェブサイトだけでしょう」と批判していました。

しかしGSTは、オフショアゲームの開発企業を監視し、確実に税金を収めさせる特別監視体制を設置することを発表。さらにサンジェイ・マルホトラ歳入長官は「我々は、オフショアゲーム企業の登録に関する具体的な規定を導入する予定です。もしもオフショアゲーム企業が法律を順守していない場合、IT法に基づくサイトのブロックなどの措置が執られます」と報告しています。



また、オフショアゲームにおいて、NFTなどの仮想通貨での金銭の支払いも今回の課税の対象になるとのこと。

ファンタジースポーツの業界団体であるインドファンタジースポーツ連盟(FIFS)とEゲーミング連盟(EGF)は、インド政府による10月1日からの導入を歓迎し「新しい税制の枠組みは、我々にとって非常に大きな負担となりますが、インドのゲーム業界の基盤を革新し、再構築するためのチャンスになります」と述べています。