――そうだ、木村カエラさんとのPVの話を。

ヒダカ:そこら辺はメジャーっぽいですよね(笑)。

――どんな経緯で?

ヒダカ:元々、カエラちゃんのバックバンドをやっているのは、SCAFULL KINGだったりASPARAGUSだったり、toeだったりするので、友達ノリで接していられたので。で、イベントで一緒になって、当然そういう友達を乗り越えて、カエラちゃんに到達しようとメンバー全員頑張ったんですけど(笑)、当然カエラちゃんというハードルは非常に高いので、まずそのハードルを下げるためにも、「ミュージックビデオに出てもらえませんか?」と。

――まずは外堀から埋めて。

ヒダカ:ちょうど監督と話していて、「今回は“愛が伝染する”という歌詞だから、伝染つながりで、とりあえずコンドームをかぶろう。そういうコンセプトのビデオにしよう」と言ってて(笑)。で、コンドーム風船をかぶったオレ達が浮いちゃうんですけど、「その風船を抑えているのは、誰が一番面白いかね?カッコイイかね?」と考えた時に、逆に、どメジャーなカエラちゃんがそれを抑えている方が…しかもさり気なくね、スタッフ目線で…その方がクールだろう、と。

クボタ:ローディやらせるっていう(笑)。

ヒダカ:「それぐらいの方が逆に面白いんじゃないか?」ということで頼んでみたんですけど。そしたら本人もやっぱり、キレイキレイ、カワイイカワイイで着飾らなきゃいけないシチュエーションが多いじゃないですか、基本的にはモデルさんだから。そういう使われ方をするのは初めてなので、逆に「全然やりたい!」って言ってくれて。「その換わりに私のPVにも出てね」って言われたので。そこはもう、むしろ喜んで。というか「俺達で本当にいいのか!?」ぐらいの。逆に「迷惑なんじゃないかなー?」みたいな(笑)。

――7月にASIAN KUNG-FU GENERATIONのイベントに出演されたりと、同世代だけでなく年下のバンドからイベントに誘われることも多いと思うんですけど。お客さんも、音楽の夢を諦めてしまった同世代のサラリーマンが、その夢に重ねて見てしまったり。これから社会に出る年下の世代からは、まさに憧れの存在として見られたりしてますね。

ヒダカ:なんか面白がってくれてますよね。

――そういう現状をどう思いますか?

ヒダカ:嬉しいですよね。全然、客層は限定してないんですけど。1番象徴的だったのは、ミュージックステーションに出たことだと思うんですよね。結局、ミュージックステーションに出てイメージが悪くなるっていうのは、アーティスト側の限定なんですよね。アーティストが自ら柵を作るということじゃないですか。俺達は逆にそれはいらないんですよね。ミュージックステーションに出て「カッコ悪い」と言われたら、それはそれでしょうがないというか。いる場所とか、立ち位置とか、ルックスでどうこう言われるのは、ぶっちゃけどうでもいいですよ。曲が良ければいい。曲を「良い」「悪い」言ってもらって、「曲が悪い」と言われたらすごく落ちますけど。それ以外は別に「顔が悪い」では全然落ちないし、だからこそお面だし(笑)。だから、こっちも聴き手を選ばないですよね。その代わり、1回入ってきた聴き手には、ものすごく聴く物を選ばせますけどね。多分、そういうシステムをオレ達が作ってるからじゃないですかね。BEAT CRUSADERSに食いついてきて、そこからジャニーズに行く、ってことは多分無いですよね。ロンドンパンクの方に行ったり、メロディックなパンクに行ったり、あるいはギターポップに行ったりだと思うので。そういう仕組みを俺達なりに日々努力している感じですね。

クボタ:今回のシングルも、例えば1曲目の「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」も、逆に僕達が中高生とかに聴いていたフリッパーズ・ギターぐらいから、Teenage Fanclubあたりのギターポップものを今やってみると、若い子には新しいし、同じ世代だと「あぁ〜、ニヤリ!」という感じ。2曲目にしてもそうだし、どんな曲もそうですね。その何か不思議な現象が、隙間産業というか(笑)。それやれるのは意外と自分達しかいなかったり。

ヒダカ:スキマっぽいよね(笑)。

――2曲目の「I WANNA GO TO THE DISKO」の「ディスコ」って最近、聞かない言葉ですよね。

ヒダカ:それがね、イベントに出ていく内に、RYUKYUDISKOと仲良くなったり。あとは、前の事務所が電気グルーヴの卓球さん、瀧さんと一緒だったので、結構クラブ寄りになることが多かったんですよね。個人的にSUGIURUMNと仲がいいので、その杉浦君のイベントとかに遊びに行っている内に、4つ打ちをバンドでやるっていうことの意義が段々、俺達の中で過熱していったって感じなんですけど。ただ、BEAT CRUSADERSがやるんだから、Chemical Brothersとかunderworldとかじゃなくて、もっとベタなバンド感というか。

クボタ:やってみると80’sの匂いがどうしても出ちゃう(笑)。

ヒダカ:それが逆にキッズにとっては新しいんだろうなって思います。