そこで、今回の朗報である。アンナ先生が考える振り付けは激しいだけではない。ギャグからアイデアを引っ張ってくることもある。『詩人』のサビには、小島よしおの「そんなの関係ねえ」が引用されている。AKB48の『ポニーテールとシュシュ』はザ・ドリフターズのヒゲダンス、『LOVE TRIP』はダチョウ倶楽部のギャグが取り入れられている。引き出しが豊富なので、飽きることがない。

 しかし、より肝心なのは、メンバーがアンナ先生から何を吸収するかである。チームSは、新公演の情報が解禁された当日にアンナ先生から指導を受けたことを明かしている。あと2か月、先生は何を伝えるのか……?

 チームSのみならず、SKE48に必要なものは、誰かのお下がりを着ることではなく、新衣装に袖を通す経験だ。これによって、自覚が芽生える。先輩の妹ではなく、長女になるとどんな気持ちが芽生えるのか。5月にこれを経験してほしい。

 今月5日、レギュラー番組『SKE48 ZERO POSITION』の企画で、アンナ先生はメンバーのダンスを審査した。久しぶりにSKE48のダンスを目の当たりにして、先生の心にも「指導してみたい」という気持ちが芽生えたことだろう。そんなタイミングでチームSへの指導が決まった。渡りに船だったに違いない。

 ここで冒頭の疑問に戻る。なぜSKE48の新公演がニュースになるのか。それは、小室哲哉と牧野アンナの手を組むことにより、SKE48がグループとしての個性を取り戻す可能性が高くなったからだ。いや、取り戻すのではなく、結成当初とは違った色が見えてくるはずだ。それこそがグループにとって大事なことなのだ。

 とにもかくにも、昨今のSKE48に足りなかったピースが揃った。小室氏もどんな楽曲を書き下ろすのか……? 28日、表題曲『君に愛を、僕に愛を』がいよいよ公開される。初日までの2か月、チームSの動きから目が離せない。

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