シンガポールのリー・クアンユー氏は、シンガポール建国の父とも呼ばれ、経済大国へと導いた人物だ。そのリー氏は生前、日本の行く末について悲観的な見方を示していたようだ。中国メディアの網易はこのほど、リー氏が「日本は将来的に凡庸な国になる」と予告していたと紹介する記事を掲載した。

 なぜリー氏は日本の将来について悲観的な見方をしていたのだろうか。記事によると、日本は「少子高齢化」が非常に深刻だからだという。例えば、日本は女性の4人に1人が70歳以上で、この割合は年々上昇していると指摘した。

 その一方で、出生率は低下し続けており、このため若者の負担が大きくなっているほか、社会へ出る若い労働力が減少しているので国全体に活力が生まれず、各方面の発展が阻害されていると分析した。これはハイテク企業の研究分野や軍事面も含んでおり、このためリー氏は生前に「日本は凡庸な国となる」と述べていたという。

 シンガポールも出生率が低く少子化問題に直面しているが、リー氏がその解決策として推し進めたのが「移民政策」だ。しかし日本は、移民の受け入れという方法は採用しなかったため、リー氏は移民を拒む日本を痛烈に批判したと記事は伝えた。

 最後に記事は、リー氏の日本に対する見解は、個人的な感情や政治的な要素も関係しているとはいえ、少子高齢化問題に直面している多くの国に対する警告となっていると論じた。

 中国も急速に少子高齢化が進み、最近では3人目まで出産できる「三人っ子政策」に変わったほか、小学校低学年の宿題禁止や学習塾削減政策という「中国版ゆとり教育」を展開することで、出生率を上げようとしている。中国がシンガポールのような移民政策をとることは考えにくく、少子化対策には中国も頭を悩ませていると言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)