ソニーのスマートフォン「Xperiaシリーズ」の最新フラッグシップモデル「Xperia 1 III」。ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから発売予定となっており、2021年モデルとしては注目の1台だ。すでに基本スペックなどの紹介は別記事でもアップされているので、今回の記事では、前モデルからの変更点や気になるポイントをピックアップして紹介する。
Xperiaシリーズのハイエンドはこれまでもカメラ性能にこだわっているが、本機の進化点はカメラだ。背面カメラは一見するとXperia 1 IIと同じ3眼仕様だが、望遠カメラにペリスコープタイプのレンズを採用。さらに焦点距離が70mmと105mmの可変式で、実質4眼仕様のカメラといえる。
さらにカメラアプリも変わっており、前モデルでは標準のカメラアプリと、ソニーのデジカメ「αシリーズ」のようなUIの「Photography Pro」(Photo Pro)と2種類が用意されていたが、Xperia 1 IIIでは「Photo Pro」に統一された。
「Photo Pro」を起動すると、これまでの標準カメラアプリと同じようなUIの「ベーシックモード」が表示される。さらにモードを切り替えれば、従来のαシリーズのようなUIを備える「Photo Pro」としての機能が呼び出せる。
自分は先代の「Xperia 1 II」を普段のメインスマホとして使用しているが、基本的には標準のカメラアプリを起動して撮影することが多い。Photo Proはなにか本気で撮影しようと思うときだけ使うので、今回の統合はわかりやすくて良い。
なお、可変型焦点距離のペリスコープレンズを搭載するため、3眼ながら焦点距離の切り替えボタンは「×0.7」「×1.0」「×2.9」「×4.4」の4つとなった。物理的にレンズが動くため、「×0.7」「×1.0」より「×2.9」「×4.4」をタップしたときのほうが、若干切り替えが遅く感じるものの、そこまで気になるほどではなくストレスなく使える。
ちなみに、焦点距離自体は70mmと105mmのどちらかで固定となる。そのため70mm(×2.9)から105mm(×4.4)の間は、70mmからのデジタルズームとなっている。
また前モデル同様、ズームは各レンズごとに行う。「レンズ交換式カメラ」に近い操作性のカメラUIを目指している設計思想なのでこのようになっているが、他メーカーは広角からデジタルズームでの最大望遠までレンズを自動で切り替えながら一気通貫で操作できるのが一般的。個人的にはベーシックモードは、他メーカーと同じUIのほうがわかりやすいと感じた。
ディスプレーも前モデルから大きく進化している。6.5インチ(3840×1644ドット)の有機ELを搭載する点は前モデルから変わらないが、リフレッシュレートが120Hzに対応している。前モデルの「Xperia 1 II」でも擬似的な90Hz表示となっているため、そこまで違いは感じられないものの、それ以前のリフレッシュレートが60Hz表示のモデルと比べれば、画面スクロール時などで違いを感じられる。
高リフレッシュレートはゲームプレイ時に威力を発揮する。加えて、タッチ検出は240Hzとタッチ操作時の反応もアップしており、思ったとおりの操作が行える。
さらにゲームアシスタント機能「ゲームエンハンサー」も、ディスプレー性能などの強化にあわせてパワーアップ。専用画質設定でゲームに最適な画質に調整できるほか、ゲーム用に作られたγ(ガンマ)チューニングで、暗いシーンを意図的に明るくし、暗いシーンでも敵を発見しやすくなるといった効果が得られる。
ゲーム録画は最大120fps(解像度は720p)に対応。録画ボタンを押す30秒前からのプレイを保存する「RTレコード」機能も搭載するなど、ゲームプレイ中の決定的瞬間も逃さず記録できる。そのほかマイクチューニングによりノイズの除去といった機能もあり、スマートフォンのゲームの実況配信や動画配信をしているユーザーには機材を減らしたり、編集作業の手間が省けるのでありがたい。
本体デザインは「Xperia 1 II」のコンセプトを踏襲しているが、本体右側面の電源ボタンとシャッターボタンの間にGoogleアシスタントボタンを新たに搭載。国内モデルでは、このボタンのカスタマイズができずGoogleアシスタント呼び出し固定となっている。物理ボタンは故障の原因にもなりやすく、ボタンの配置的にも三脚やジンバルなどのホルダーを付けると使いにくい。
Googleアシスタントの呼び出し方法はほかにも用意されており、せめて別アプリの起動を割り当てるなど、カスタマイズできれば使い勝手もいいのだが、それもできない。Googleが発売するPixel 5にもGoogleアシスタント用の物理ボタンはないので、搭載する必要があるかどうかは疑問だ。
重量は約188gと、最近のハイエンドモデルとしては軽量の部類。さらに前モデルからバッテリーは500mAh増加した4500mAhだが、重量は8gしか増加していない。ディスプレーのリフレッシュレートが高いとそれだけバッテリーも消費するが、バッテリーもしっかりと増量しているのでそこまで心配する必要はなさそうだ。
そのほか本体スピーカーやイヤホン・ヘッドホン使用時の音質もアップしており、今回のXperia 1 IIIも「カメラ」と「コンテンツ視聴」、「ゲーム」に振り切って作られた印象。この振り切ったコダワリを理解できるユーザーには刺さるモデルに仕上がっている。
(更新)初出時、望遠レンズの焦点距離に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。