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 メモリアル・トーナメント(7月16日〜19日/オハイオ州)で予選落ちを喫した松山英樹は、1週間のオフを経て、世界選手権シリーズ(WGC)のフェデックス・セントジュード招待(7月30日〜8月2日/テネシー州。パー70)に参戦。今季初メジャーとなる翌週の全米プロ選手権(8月6日〜9日/カリフォルニア州)を前にして、通算6アンダー、20位タイで終えた。

「もう少し(スコアを)伸ばしていけたらよかったんですけど、うまく波に乗れない、という感じ。それでも、(よくなる)きっかけは少しずつ見つけている。(ショットに関しては)曲がっているボールもあるけど、いいショットを打った時には、フェアウェーをとらえたり、チャンスにつけたりしていたので、そこはよかったな、と。もう少し安定した、何も考えずに今のゴルフができるようにしていけたらな、と思う」


ショットの状態はよくなっているという松山英樹。全米プロでの活躍が期待される。photo by Getty Images

 1週間のオフの間はフロリダ州の自宅に戻って、ショットやパットの調整を重ねていた松山。それによって「いい方向に向かっている」という言葉どおり、初日は大きなミスもなく、4バーディー、2ボギーの2アンダー、15位タイとまずまずのスタートを切った。

「いいところもあれば、悪いところもあったかなと思う。(ショートゲームでは)あまりミスがなくプレーができたので、ストレスがたまらなかった。ただ、いっぱい、いっぱいのなかでの2アンダー。明日も一生懸命がんばりたい」

 2日目は出入りの激しいゴルフで、3バーディー、4ボギーの「71」。スコアをひとつ落として、順位も33位タイまで後退した。初日は安定していたショットがやや乱れ、パーオンできたのは半分の9回だけ。ラウンド後の松山は厳しい表情を見せた。

「ショットもよくなかったし、パットもあまりいいところがなかった。もう少し何かきっかけがあれば、よくなりそうな雰囲気はあるので、そこを考えながら、いいスコアを出して、いい位置で回れるようにしたい。(朝早いスタートで明日のラウンドまで時間があるので)まずは昼寝でもして、イメージを変えたいと思う。」

 朝から小雨が降ったり、やんだりという天候となった3日目。その分、気温的には過ごしやすい一日となり、松山は前日に調子を落としていたショットが改善し、危なげないプレーを披露した。17番では、この日5つ目となる12mのバーディーパットを見事にカップイン。コースに隣接する住宅から観戦していたギャラリーが歓声を上げると、そちらに向かって笑顔を見せた。その後、18番でボギーを打ってしまったものの、この日はスコアを3つ伸ばして、順位も22位タイまで上昇した。

「(パーオンで)グリーンに乗る回数が多かった分、バタバタしながらではなく、落ち着いたプレーができた、というのはある。(全体的に)少しずつよくなっているし、明日もいいプレーができれば上位にいけると思うので、がんばりたい。17番の歓声? ああいうのが長らくなかったので、素直にうれしかった」

 最終日、松山は1イーグル、3バーディー、3ボギーの「68」。通算6アンダーでフィニッシュした。優勝したジャスティン・トーマスとは7打差をつけられ、上位争いに絡むことはできなかったが、ショットの状態は上向き。最後に納得の表情を見せた松山は、次週の全米プロへ向けても前向きな抱負を語った。

「だいぶ基本的なことを忘れている部分があったので、そこを少し見つけられたのはよかった。ミスしているところも、何でそうなっているのか、ちょっとずつわかるようになってきたので、来週に向けてはよかった。ショットだけなら、上位にいけるんじゃないかって思う。

 パッティングに関しても、少しずつよくなってきていると思う。途中で気づいたとこともあったし、来週も自分で考えながらやっていきたい。(全米プロはここ最近の大会とは気候が違って)だいぶ寒いと思う。ボールも飛ばないと思うので、それがどれぐらい体に影響があるのか。その辺りを見極めるうえでも、その寒さに慣れていかなければいけない。

 久しぶりのメジャーが楽しみ? 楽しみではないですね......。まあ、がんばります」

 2017年の全米プロでは、優勝争いを演じた松山。ショットの調子がいいだけに、パット次第では同様の期待が膨らむ。コロナ禍という特殊な状況ではあるが、世界中の多くのファンが注目する一戦。松山の奮闘に注目したい。