新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の総感染者数が30万人、死亡者数が4万5000人を記録したイギリスで、「100万人以上が喫煙をやめた」という調査結果が報告されました。「喫煙が呼吸機器に与える負担がCOVID-19を悪化させる」という懸念から、タバコをやめる人々が急増しています。

A million people have stopped smoking since the COVID pandemic hit Britain - Action on Smoking and Health

https://ash.org.uk/media-and-news/press-releases-media-and-news/pandemicmillion/

タバコは肺がんを始めとするさまざまながんや脳卒中、心疾患を引き起こすことが知られてきましたが、COVID-19に関する研究が進む中、新たに「喫煙がCOVID-19の重病化リスクを高める」という研究結果が多数発表されています。

「喫煙は新型コロナウイルス感染症の重病化と関係している」という複数の研究結果、「生き延びたいなら100%禁煙しろ」と主張する専門家も - GIGAZINE



このような研究結果を受け、WHOなどもCOVID-19対策として「禁煙」を推奨。日本呼吸器学会も、「喫煙は新型コロナウイルス肺炎重症化の最大のリスク」として、禁煙を強く勧めています。

新型コロナウイルス感染症とタバコについて

(PDFファイル)https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/koronatotabako.pdf



こういった流れの中、COVID-19が猛威を振るったイギリスにおいて、禁煙が盛んになっているという報告が上がっています。タバコに関する公衆衛生団体Action on Smoking and Health(ASH)とユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの合同調査によると、COVID-19の流行以来、イギリスで禁煙している人は100万人以上に達したとのこと。年齢別にみると、16歳〜29歳の年齢層では約40万人、30歳〜49歳では約40万人、50歳以上の年齢層においては約24万人が禁煙したそうです。なお、50歳以上の禁煙者数が少ないのは、元々の喫煙率が低いためとのこと。また、禁煙を試みたが失敗したという人の総数は約44万人に達するそうです。

イギリス国家統計局の(PDFファイル)タバコに関する統計調査によると、2018年時点のイギリスの喫煙率は14.4%、喫煙者数は590万人でした。そこから換算すると、COVID-19の流行によって、およそ6人に1人が禁煙している計算です。



COVID-19の問題を契機に、ASHは禁煙を呼びかけるキャンペーンを展開する予定とのことで、同団体のデボラ・アーノット代表は「100万人以上が禁煙に成功したとみられていますが、いまだに喫煙を続けている人は何百万人もいます。新たに実施される禁煙キャンペーンは、まだ禁煙を成功させていない人々に『今日こそが禁煙する日だ』と決断するよう促すことを目的としています」とコメントしています。