今日、6月21日は日食が起こる。天候がよければ日本全国で見られ、曇っていても、薄い雲なら観察できる可能性がある。 日食はいつ、どの方向を見ればよいのか、そして、安全に観察するための注意点とは。

写真は、月刊天文ガイド2020年7月号(誠文堂新光社)

夕方、西の空をチェック

 月刊天文ガイド2020年7月号(誠文堂新光社)では、「6月21日の部分日食を見よう!」と題して、今日の日食について解説している。

 各地の日食が始まる時間や、終わる時間も一覧で掲載されていてわかりやすい。開始時間をみてみると、那覇市、福岡市では15時59分、大阪市は16時6分、東京都は16時11分、札幌は16時12分から太陽がかけ始める。天文ガイドには、そのほかの地域も細かく掲載されていて、太陽が多く欠ける時間(食の最大)や終わる時間も知ることができる。

 見る方向は、太陽なので見つけやすい。ちなみに、西から西北西の方向だ。

画像は、部分日食の解説図(提供 国立天文台)

直接見てはいけない

 本書には、日食観察の注意点も書かれている。

 肉眼で太陽を直接見ると目を傷める。失明の危険があると注意喚起している。記者も今までの取材経験で、望遠鏡や双眼鏡などで見るのはもっと危険、カメラで撮影するのも、目でファインダーをのぞくことになるので危険があるという話を聞いたことがある。

 望遠鏡などの機器で観察するときは、専門の知識を持つインストラクターがいる場合に限ったほうがよさそうだ。

観察の方法

 本書では、いくつかの方法を紹介している。身近なのは、「太陽観察メガネ」や「ピンホール」だろう。

 「太陽観察メガネ」は、大手カメラ店などで入手することになるが、「ピンホール」は厚紙があればできるので、自作してみるのも面白い。厚紙に1mmくらいの小さな穴を開ける。その穴を通った光を、別の紙や壁や地面に当てると、欠けた太陽の形で写るのだ。直接太陽を見ないので、安全に観察できるという仕組みだ。

写真は、「太陽観察メガネ」の例

 そのほか、国立天文台では、「石垣島天文台」からネットでライブ中継も行うと告知されている。ネット中継で観察するのもひとつの方法だ。

 

国立天文台のホームページも活用しよう

 国立天文台のホームページでは、上記のライブ中継のほか、各地の日食の時間や、安全な見方、そして、そもそも、日食って何なのか?という解説も掲載されているので、じっくり見てみるのも面白い。

国立天文台のホームページ(提供 国立天文台) 

次に見られるのは、10年後

 月刊天文ガイド2020年7月号によると、次に日本全国で日食が見られるのは、2030年だという。あと10年後だ。

 一部の地域では、2023年にも部分日食が見られるというが、条件はよくないという。

 本誌では、日食以外にも、彗星(ほうき星)が見られる情報や、季節の星座の位置なども掲載されていて、雑誌全体的に写真が美しい。

 巻末にあるアマチュア天文家の応募写真も、もはやプロ?と思わせる作品で驚くほどの品質だ。

 夏を前に、星空の雑誌をゆっくり眺めるのも、ビジネス脳によい刺激になるのでは。

書名:  天文ガイド 2020年7月号
監修・編集・著者名: 天文ガイド編集部 編
出版社名: 誠文堂新光社
出版年月日: 2020年6月 5日
定価: 979円(税込)


(BOOKウォッチ編集部 木村)