【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は10日、最高人民会議(国会に相当)を平壌で開く。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国が大規模な屋内行事を控えている中で強行する形となることから、注目を集めている。

 最高人民会議は北朝鮮の憲法上の最高主権機関で、毎年4月ごろに開かれ、憲法・法律改正など国家政策の基本原則策定、主要国家機関の人事、予算案の承認などを行う。通常は年1回開催だが、2回の年もある。

 北朝鮮は今年初めに「経済の正面突破戦」を宣言したものの、新型コロナウイルスの影響で経済難は深まっている。今回の最高人民会議ではまず、この状況を打開するための経済けん引策が示される見通しだ。

 だが、国際社会による対北朝鮮制裁が長引き輸出入ルートの大半が断たれている上に新型コロナウイルスも重なり、妙案を打ち出すのは難しいとの見方が強い。そのため、自力更生を重ねて強調しながら、内部のあらゆる資源を総動員しようと呼び掛ける新味のない対策を示すにとどまるとみられている。

 新型コロナウイルスに関しては、今年の保健分野の予算を大幅に増額する見通しだ。

 今回の会議を通じ、内閣の傘下機関に対する新たな人事措置などが行われる可能性もあるが、すでに昨年末の朝鮮労働党中央委員会総会を経て主な人事措置をほぼ終えていることから、大きな変更はないとみられている。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が出席する可能性も一部で取り沙汰されているが、金委員長は昨年3月に実施された最高人民会議の代議員選挙に立候補せず、代議員に就いていないことから、特別なことがない限り出席しないと予想される。

 だが、会議前日に金委員長の主宰で党政治局会議などを開き、主な案件を議論する可能性はある。実際、北朝鮮は金正恩体制になってから、実質的な意思決定機関である朝鮮労働党で事前に主要案件を議論し、代議機関と位置付ける最高人民会議に提出する形を取ってきた。

 北朝鮮はすでに昨年末の党総会で米朝関係の膠着(こうちゃく)の長期化に備える姿勢を表明したことから、今回の最高人民会議では新たな対外メッセージを出さないとみられている。北朝鮮が米国を大きく刺激するような行動を控え、米朝とも新型コロナウイルス問題で内政に集中していることも、こうした見方を後押ししている。

 一方、北朝鮮は新型コロナウイルスの感染が疑われる代議員は会議に出席させないと予想される。昨年のように、代議員を万寿台議事堂に集める場合は室内の防疫に万全を期すとみられる。代議員は全国から選出された687人だ。