そして、良質な油(オメガ3系脂肪酸)には、細胞を元気にして体の炎症を抑える働きがあるので、鼻弱体質の改善にもつながる。オメガ3を特に多く含むのは亜麻仁油だが、加熱に弱いので、そのままドレッシングとして使うのがよい。えごま油、魚の油、くるみ、カリフラワーにもオメガ3は含まれている。

 他にも、ビタミンAやβカロテンには、敏感になった鼻粘膜を守る作用があるので、モロヘイヤやにんじんも推奨できる食材の1つだ。慢性炎症を抑えるトマト、鼻タケ(鼻腔内にできるポリープ)を防ぐごぼう、鼻炎体質を整える発酵食品や乳酸キャベツなども、“強い鼻”をつくるのに効果的である。

◉LPSとは?
大腸菌やサルモレラ菌などのグラム陰性菌の細胞壁を構成する成分で、英語では「リポポリサッカライド」、日本語では「リポ多糖」または「糖脂質」と呼ばれる。自然の中の土や木、植物などに存在する。

◉LPSのすごい効果
花粉症の抑制のほか、貪食細胞と呼ばれるマクロファージに働きかけ、アトピーや肌荒れの改善、がんや感染症の予防、高血圧や糖尿病の改善など、さまざまな病気の予防に大きな効果を発揮する。

■LPSを多く含む食材 ※(マイクログラム)は、乾燥1gあたりのLPS含有量

*ひらたけ(60.0マイクログラム)
味にクセが少ないので、ジャンルを問わず調理しやすい。軸が短く、かさが水平なのが特徴。まいたけにも多くのLPSが含まれている。

*めかぶ(42.8マイクログラム)
わかめの根元部分。LPSだけでなく、ぬめり部分にも免疫力アップの効果がある。スープに入れる時は火を止める直前に。

*れんこん(5.0マイクログラム)
根菜類の中でも特にLPSの量が豊富で、節や皮に多く含まれる。LPSは水溶性なので、長く水に浸さずに摂取しよう。

*そば(2.9マイクログラム)
1人前(100g)のそばを食べると、290マイクログラムのLPSが摂取できる。そばには炎症物質の分泌を抑制するルチンという抗酸化物質も含まれている。

*ひじき(30マイクログラム)
ひじき40gをお浸しにして食べると、120マイクログラムのLPSが摂取できる。鉄分やカルシウムも豊富なので、日々の食事に取り入れるべき。

■症状に合わせた“鼻に効く”食材も

◉鼻のムズムズをすっきり!
はちみつ など:はちみつに含まれる数十種のポリフェノールが、アレルギー症状を起こすヒスタミンの放出を抑えてくれる。花粉が飛散する前から摂取しておくと、アレルギー反応の抑制にもなる。

◉鼻タケ(鼻腔内ポリープ)を防ぐ!
ごぼう など:利尿作用があるイヌリン、老廃物の処理に役立つアスパラギン酸が含まれており、鼻の中の老廃物の排出に役立つ。食物繊維も豊富なので、腸内もきれいになって便秘も改善する。

◉鼻炎体質を整える!
発酵食品 など:納豆、みそ、漬け物、チーズなどの発酵食品には、脂肪やたんぱく質を分解する酵素が含まれている。必要な栄養をしっかりと消化・吸収し、鼻炎体質の改善にも役立つ。

◉慢性炎症を抑える!
トマト など:抗酸化食材には、鼻炎などの慢性炎症を抑える効果がある。中でもトマトの赤い色素成分であるリコピンには、高い抗酸化作用がある。加熱することで体内への消化・吸収がよくなる。

◉アレルギー症状を抑える!
亜麻仁油 など:亜麻仁油は亜麻の種子をしぼって抽出した油で、アレルギー症状を抑えるオメガ3系脂肪酸を豊富に含む。酸化しやすいので、加熱せず、そのまま使って摂取しよう。

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監修/北西剛先生
きたにし耳鼻咽喉科院長。医学博士。滋賀医科大学卒業後、滋賀県内の病院、大学病院助手を経て、2005年に「きたにし耳鼻咽喉科」を開院し現在に至る。『もう悩まない! 副鼻腔炎・花粉症を薬に頼らず治す!』(宝島社)など著書多数。