■好きなことを仕事にして一発逆転する法
好きなことを仕事にして幸せに働けるのは、特別な才能を持つごく一部の人だけで、凡人には無理だと思っている人は多いだろう。著者のMB氏もかつては、ボーナスゼロ、年収200万円程度で働く、地方のアパレルショップの販売員にすぎなかった。ところが今や大好きな洋服の情報を発信するブログや有料メルマガで多数の読者を抱え、有名雑誌やファッションサイトで連載を持つ、年商億超えの人気ファッションブロガーである。彼はなぜ成功できたのか。
「ロジカルにビジネスモデルを組み立て、有効なメソッドを駆使したからです。たとえばコム デ ギャルソンで知られる服飾デザイナー、川久保玲さんのように、突き抜けた才能を持つ人なら情熱だけで突っ走っても成功できるでしょう。でも学歴も才能もスキルもない“持たざる者”は、ロジックに頼らざるをえなかった」
本書にはP・F・ドラッカーの有名な「顧客を創造する」のセオリーを軸として、「差別化の概念」やPDCAサイクルの回し方、高い目標設定の運用の仕方など、具体性に富むノウハウが詰まっている。
「貧乏で絶望していた僕が、お金で困らなくなるまでの方法をそのまま伝えています」
■副業で好きなことを始めるのもいい
とはいえ起業を勧めるわけではなく、今勤めている会社に好きな仕事があるなら、その仕事を任されるよう努力すればいいし、副業で好きなことを始めるのもいいと説いている。「ただ、どの道を選ぶにしても好きなことを仕事にするには、嫌いなことにも懸命に努力する期間が必要だ」という現実的なアドバイスも忘れていない。
数あるノウハウの中で、成功の鍵を握るのは「他人目線」の獲得だとMB氏は言う。
「他人目線とは、顧客主体に考えて行動すること。そのために、仏教でいう“滅私”の精神で、自分のこだわりを少し曲げることも必要です。自分が好きなことと、社会の欲求の『交差点』を見つけることが、成功への第一歩です」
ブログやメルマガで数多くの読者を抱える著者だが、手っ取り早く注目を集められる炎上マーケティングには否定的だ。
「僕の事業のミッションは洋服なんて興味ないという人を、楽しくて美しいファッションの世界に連れてきてあげること。その綺麗な世界をネガティブな言動で汚すのはファッションを毀損することだし、お客さんにも見限られてしまうでしょう。第一、僕が幸せを感じられません。好きなことを仕事にするということはお金儲けだけじゃなく、どんな世界を実現したいのかを考えて実行する、夢のある活動だと僕は思っています」
----------
ファッションアドバイザー
安価な洋服でも劇的におしゃれになれる方法を自身のブログや有料メルマガほか、様々なメディアで発信。
----------
(ジャーナリスト 大島 七々三 撮影=榊 智朗)
外部リンクプレジデントオンライン