アップルはAirPodsやAirPods Pro向けのファームウェアアップデートを頻繁にリリースしています。これらは主に細かなバグの修正に焦点を当てたものですが、最近のアップデートによりノイズキャンセル機能がかえって大幅に低下したとの検証結果が伝えられています。問題となっているのは、12月16日(米現地時間)にリリースされたファームウェア「2C54」です。これにつき海外大手掲示板Redditほかで「以前よりも多くの外部ノイズが聞こえるようになった」との報告があったことを受けて、オーディオ機器レビューサイトRTINGSがAirPods Proを2C54にアップデートの上で検証したしだいです。

RTINGSのテスト結果では、良くも悪くもいくつかの顕著な変更が明らかになったとのこと。最大の改善としては、1つには周波数応答の一貫性、もう1つは低音の精度が上昇したという点です。後者についてRTINGSは以前もAirPods Proのそれが「優れている」と評していましたが、2C54アップデート後は「かなりの大幅な改善」が認められたとしています。

しかし多くのユーザーにとって注目すべき変更が、アクティブノイズキャンセルの性能が変化していることです。RTINGSによると2C54の更新により「アイソレーション(遮音性)性能が大幅に低下」しており、主に低音域が劣化しているとのこと。具体的には飛行機やバスの低いエンジン音を上手くブロックできなくなったとされています。

記事執筆時点では、アップルはこうした苦情を公式には認めていません。が、アップル関連情報サイト9to5Macによると2C54はすぐに配信が停止されたとのことです。これによって2C54の影響を受けるユーザーは広がらなくなりましたが、すでにアップデート済みの環境にとっては何の改善にもなっていません。

AirPodsおよびAirPods Proのファームウェア更新はiOSやwatchOSのようにアナウンスされず、ごくひそやかにリリースされる場合がほとんどです。特にアップデートに当たって明示的に確認されることもなく、母艦のiPhoneやiPadに接続すれば自動的にインストールされるため、ユーザーが気づくことも更新を防ぐ手立てもありません。

AirPods Proのファームウェアは、iPhoneに接続した状態で設定アプリから[一般]>[情報]>AirPods Proを選んで確認できます。ちなみに筆者のAirPods Proは2C54にアップデート済みでした。

もしもRTINGSの報告が本当であれば、速やかな公式アップデートを待ちたいところです。

Source: RTINGS
Via: 9to5Mac