リング誌のフィッシャー編集長がWBSS決勝を「ファイト・オブ・ザ・イヤー」認定

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のバンタム級決勝でWBA・IBF王者の井上尚弥(大橋)は、ノニト・ドネア(フィリピン)との死闘を制した。権威ある米誌「ザ・リング」の編集長は世紀の名勝負を「考えれば考えるほど、2019年のファイト・オブ・ザ・イヤーを確信」と称賛。「深海で溺れていた」という苦しみの中盤戦から最後の3ラウンドで示した底力を年間最優秀ファイト選考の理由に挙げている。

 世界でもいまだに余韻冷めやらぬWBSSの頂上決戦。リング誌のダグ・フィッシャー編集長は読者とのQ&A企画でこの名勝負をテーマに持論を展開した。そして「考えれば、考えるほど、イノウエ対ドネア戦が2019年ファイト・オブ・ザ・イヤーと確信してくる」と断言している。

 リング誌では昨年、「年間最優秀KO」としてWBSS初戦のフアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を70秒で倒した一戦を表彰していたが今回の頂上決戦は年間ベストバウトの栄誉に相応しいと断言している。

 そして、選出の理由をこう続けている。

序盤は井上、中盤はドネア、そして終盤は…二転三転の試合展開に興奮

「これが私がファイト・オブ・ザ・イヤーと考える理由だ。序盤戦、5、6ラウンドではイノウエがドネアを押しつぶすように見えたが、ベテランは日本のスターを7、8、9回に崩壊させたかに見えた。しかし、深海で溺れるかに見えたイノウエが、10、11、12回にモンスターのような応酬を見せたのだった」

 2回に右目の上をキャリアで初めてカットした井上。劣勢の中盤戦を乗り越え、11回に強烈な左のボディブローでダウンを奪うなど終盤に強さを示した。

 両者が持ち味を発揮したローラーコースターのように激しく動いた一戦。11月を迎え、今年のボクシング界の頂点に輝くような名勝負になったと、名物編集長は確信しているようだ。(THE ANSWER編集部)