Stephen Lam / Reuters

アップルが長らく噂されている純正ARヘッドセットを、ゲームプラットホームSteamを運営するValveと提携して開発中であり、2020年に発売を予定しているとの噂が報じられています。台湾の電子業界情報誌DigiTimes報道によると、アップルはValveと提携してARヘッドマウントディスプレイ機器を開発しており、2020年後半にリリースされる可能性があるとのこと。その組み立ては、クアンタ・コンピュータ(Quanta Computer)およびペガトロン(Pegatron)が担当すると伝えられています。

Valveは2015年にSteamで販売されているゲームをVRで遊べるPC用プラットフォーム「SteamVR」を立ち上げており、2019年5月には新型VRヘッドセット「Index」を発表しています。

さらに2017年のWWDCにて、Valveはアップルと協力してmacOS High SierraにVRヘッドセットのサポートを提供するとともにSteamVR for macOSのベータ版を公開。つまり両社は数年にわたって協力関係を築いており、さほど唐突な話ではありません。

ただし、今回の提携はVRではなく、ARヘッドセットに重点を置くとのこと。DigiTimesはティム・クックCEOが「ARはデジタルコンテンツをユーザーの世界の一部にでき、スマートフォンと同じぐらい消費者の人気があると信じている」と指摘しています。実際、クック氏はARゲームアプリ「ポケモンGO」が「革新的なアプリにとっての朗報」であると激賞し、ARには大きなビジネスチャンスがあると力説していました。

アップルはグラフィックデザインやシステムインターフェースおよびシステムアーキテクチャ部門のエンジニアをさらに募集しており、ARソフトウェアの開発を推進しているとも伝えられています。

DigiTimesは7月にアップルのAR/VRヘッドセットの開発が一時的に中止され、5月には開発チームが解散し、そのメンバーは他の製品開発現場に移ったと報じていました。

しかし今回の最新情報では、実際には社内開発からValveとの共同開発に移行する過程にあったとのこと。開発中止ではなく、開発体制の再編だったようです。

アップルは10年以上にわたってARやVRの商品化を検討していると見られており、「秘密の研究所」の存在が噂されたこともあります。

そして昨年から今年にかけて、アップル製ARヘッドセットの発売が近づいているとの観測が活発化していました。著名なアナリストMing-Chi Kuo氏も、サードパーティブランドと協力して開発中で、2020年初頭の発売に間に合うよう年末から量産に入ると予測しています。

それに加えてiOS 13ベータからも、何らかのARヘッドセットの開発が進んでいるとの手がかりが発見されていました。iOS版のSteam Linkがアップルに承認拒否されたこともありましたが、水面下では両社の協力が着々と進んでいたのかもしれません。