――DC制度向けのサービス内容は?
制度設計から制度運営のサポートまで、一貫したサービスが提供できます。運営管理機関業務や運用商品の提供などを行っていないので、中立的な立場で、事業主、また、従業員の方々のための制度設計ができます。
そもそも年金制度設計において、DCありきの考え方をしません。企業の現状や将来像を聞かせていただいた上で、その企業と従業員にとって最も良い人事・退職金制度はどうあるべきかという視点でプラニングします。DCを入れることが決まった場合には、複数の運営管理機関からプラン候補を挙げていただき、コンサルタントとしてより良いプランを選ぶお手伝いもします。
DC運営サポートの点では、加入者に対する投資教育や金融リテラシーの向上という点で、DC運用サポートツール「みらいナビ」を提供している未来貯金、また、ファイナンシャルプランの専門会社である家計の総合相談センターらと業務提携して専門的なサービスを提供しています。
従業員の金融リテラシーの向上というニーズは、DCを導入していない企業にもあります。人生100年時代、年金が2000万円不足するという話もありましたが、従業員の長引く退職後の生活も考え、しっかりしたマネープランをもった働き方をしてほしいという思いからです。会社の福利厚生制度を見直す中で、従業員に対する金融リテラシーの向上をサポートするサービスを導入するという話が出るようになったのは、近年に顕著な傾向です。
――今後の展望は?
昨年12月に、企業年金制度の制度設計に役立つコンテンツを提供する観点で「クミタテル」という情報提供サイトを立ち上げました。退職金・企業年金制度に関する話題や、実際の企業様の事例紹介などをしています。多くの企業が、人事・退職金制度の再構築が必要と感じている中で、制度設計のヒントになるような情報を提供してきたいと思っています。
また、新たなサービスとして「現状診断サービス」をスタートしました。定年延長が課題となるなか、定年延長した場合の退職金や企業年金をどうしたらよいのか、また、シニア社員の処遇を改善したいが人件費の増加が心配だなどという悩みが出てきます。「現状診断サービス」は、今後5年後、10年後の人員構成と人件費が把握できるサービスです。従業員の年金・退職金を含めた60歳以降の収入が把握できますから、人事・退職金制度の改善ポイントが明らかになります。
この「現状診断サービス」を実施すると、非常に充実した退職金制度を運営されている企業が少なくないことがわかります。これまでは、自社の人事・退職金制度を1人1人の従業員の収入ベースに具体化して把握することが出来なかったため、何となく業界並みの水準などと思っていたものが、業界でも抜きん出て手厚い制度だということが分かったという企業もあります。そのような企業では、人材採用の折にも、胸を張って自社の人事・退職金制度をアピールすることができるようになります。
私たちは、もっと企業が人事・退職金制度について堂々と語るべきだと考えています。働く者にとっても、今年の年収も大事な情報ですが、その会社で働き続けることによって得られる年収の見通しやそれに伴う年金(企業年金と公的年金)や退職金がどのように変化するのか知りたいと思っているはずです。「現状診断サービス」は、従業員の年金等を含めた収入を年齢別、役職別で把握できますので、この分析結果を使って従業員に具体的な収入の変化を踏まえたキャリアアドバイスができるようにもなります。
人事・退職金制度は、個々の企業・団体ごとに、それぞれの事情に応じた制度設計が重要だと思います。その制度設計の専門家として、多様な働き方、そして、長寿化が進む日本社会に相応しい制度を提案していきたいと思っています。
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