日本で進む「働き方改革」等によって、企業の人事・退職金制度の見直しも進んでいる。退職金・企業年金に特化したコンサルティングファームであるIICパートナーズの常務取締役 向井洋平氏(写真)は、「退職金制度を見直す折には、そもそも退職金をなぜ用意するのかという目的を改めて明確にし、現状を客観的に把握した上で制度設計を行うことを提案している」という。変革期にある企業年金制度にあって、確定拠出年金(DC)の位置づけ等、企業年金制度の現状を聞いた。
――IICパートナーズの強みは?
当社の創業は1996年7月なのですが、2000年にあった会計ビッグバンによって、退職金や企業年金のある企業・団体が負債として退職給付引当金の計上が必要となった時に、この退職給付債務の計算を行う専門会社として成長しました。アクチュアリー・年金数理人を多数抱えるユニークな年金コンサルタント会社です。
アクチュアリーというと、生命保険会社や信託銀行といった金融機関に所属しているケースが多く、年金業務以外の部分でも取引があって企業との関係性の中では、利益が相反する場合もあります。また、監査法人に所属しているアクチュアリーは、自分で年金債務を計算して監査も行うと自己監査という矛盾があります。そこで、当社のような中立の立場で退職給付債務を計算する専門家が求められました。現在、600社を超える企業様とお取引いただいています。
――近年の相談案件で特徴的なことは?
近年は、「人生100年時代」や働き方改革などに対応した新しい退職金制度に見直したいという制度設計のご相談が目立って増えています。
60歳だった定年を引き上げる、あるいは、65歳以降も勤めてもらうなど、これまでの制度を見直すにあたって、人件費や福利厚生の制度を見直すということは、ほとんどの企業が直面している問題です。日本経済の成長率は低く、今後も大きく伸びるとは期待しにくいので、企業が存続していくことを考えると、人件費の負担は大きく増やせないと考えるのが一般的ですが、あまり抑えた内容にすると、人材を引き留めておくことが難しくなります。
人事・退職金制度を見直すにあたっては、安心して働ける処遇を確保しつつ、過度な人件費負担を抱えないというバランスが重要になります。一方、新興企業や中小企業の中では、優秀な人材を確保するという狙いから、これまでなかった企業年金制度を導入するという動きもあります。
そもそも当社は、企業の退職給付債務の計算に始まって、これまではどちらかといえば企業の債務やリスクを減らしたいというニーズ応える形でコンサルティング業務を行ってきたわけですが、最近では退職金や企業年金本来の目的に立ち返った制度設計の依頼が増えています。
――企業年金におけるDCの位置づけは?
DCは60歳まで引き出せないので、老後の生活資金、年金そのものという位置づけです。企業の財務的な側面では、掛金を拠出してしまえば追加負担のリスクがなく、退職給付債務を把握するなどの面倒な手続きがない、極めてシンプルな企業年金というメリットもあります。年々、導入企業が増えている成長途上の企業年金制度といえます。
ただ、退職金の役割は、老後の資金だけではありません。転職等のおりに、当面の生活資金や資格取得等の資金が必要になる人もいます。その際、DC制度では退職一時金を手渡すことができません。
「人生100年時代」といわれる中で、今後は従業員の生涯にわたるキャリアに寄り添うという考え方が重要になります。企業は、働き方が多様化する中、多様な働き方に柔軟に対応できる制度を作りたいと考えています。ですから、DCだけというより、DC+確定給付企業年金(DB)、DC+中退共(中小企業退職金共済)、あるいは、DC+退職一時金制度など、何かと組み合わせて使うことが多くなっています。
――IICパートナーズの強みは?
当社の創業は1996年7月なのですが、2000年にあった会計ビッグバンによって、退職金や企業年金のある企業・団体が負債として退職給付引当金の計上が必要となった時に、この退職給付債務の計算を行う専門会社として成長しました。アクチュアリー・年金数理人を多数抱えるユニークな年金コンサルタント会社です。
アクチュアリーというと、生命保険会社や信託銀行といった金融機関に所属しているケースが多く、年金業務以外の部分でも取引があって企業との関係性の中では、利益が相反する場合もあります。また、監査法人に所属しているアクチュアリーは、自分で年金債務を計算して監査も行うと自己監査という矛盾があります。そこで、当社のような中立の立場で退職給付債務を計算する専門家が求められました。現在、600社を超える企業様とお取引いただいています。
――近年の相談案件で特徴的なことは?
近年は、「人生100年時代」や働き方改革などに対応した新しい退職金制度に見直したいという制度設計のご相談が目立って増えています。
60歳だった定年を引き上げる、あるいは、65歳以降も勤めてもらうなど、これまでの制度を見直すにあたって、人件費や福利厚生の制度を見直すということは、ほとんどの企業が直面している問題です。日本経済の成長率は低く、今後も大きく伸びるとは期待しにくいので、企業が存続していくことを考えると、人件費の負担は大きく増やせないと考えるのが一般的ですが、あまり抑えた内容にすると、人材を引き留めておくことが難しくなります。
人事・退職金制度を見直すにあたっては、安心して働ける処遇を確保しつつ、過度な人件費負担を抱えないというバランスが重要になります。一方、新興企業や中小企業の中では、優秀な人材を確保するという狙いから、これまでなかった企業年金制度を導入するという動きもあります。
そもそも当社は、企業の退職給付債務の計算に始まって、これまではどちらかといえば企業の債務やリスクを減らしたいというニーズ応える形でコンサルティング業務を行ってきたわけですが、最近では退職金や企業年金本来の目的に立ち返った制度設計の依頼が増えています。
――企業年金におけるDCの位置づけは?
DCは60歳まで引き出せないので、老後の生活資金、年金そのものという位置づけです。企業の財務的な側面では、掛金を拠出してしまえば追加負担のリスクがなく、退職給付債務を把握するなどの面倒な手続きがない、極めてシンプルな企業年金というメリットもあります。年々、導入企業が増えている成長途上の企業年金制度といえます。
ただ、退職金の役割は、老後の資金だけではありません。転職等のおりに、当面の生活資金や資格取得等の資金が必要になる人もいます。その際、DC制度では退職一時金を手渡すことができません。
「人生100年時代」といわれる中で、今後は従業員の生涯にわたるキャリアに寄り添うという考え方が重要になります。企業は、働き方が多様化する中、多様な働き方に柔軟に対応できる制度を作りたいと考えています。ですから、DCだけというより、DC+確定給付企業年金(DB)、DC+中退共(中小企業退職金共済)、あるいは、DC+退職一時金制度など、何かと組み合わせて使うことが多くなっています。
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