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香港では、拘束された容疑者を中国本土へ移送することを認める逃亡犯条例改正案への強い反発から、政府当局に対する抗議デモが活発化しています。デモ隊に対する監視や鎮圧の動きが強まる中、香港の人々はポケモンGO(Pokémon GO)や出会い系アプリのTinderを使ってコミュニケーションを取り、デモ隊を組織していると報じられました。

Swipe right for revolution: Why Hong Kong protesters are using Tinder and Pokémon Go | Abacus

https://www.abacusnews.com/digital-life/swipe-right-revolution-why-hong-kong-protesters-are-using-tinder-and-pokemon-go/article/3021460

逃亡犯条例をめぐる香港でのデモは、実に103万人を動員した2019年6月9日の大規模デモから2カ月が経過しても、依然として収まる様子を見せません。7月に入るとデモ隊と警察との衝突が発生するようになってデモの過激化が進み、7月22日にはデモ参加者を三合会と呼ばれる犯罪者集団が襲撃するという事件が発生。警察の到着が通報から1時間以上も遅れたことなどから、市民の間にさらなる怒りが広まっています。

香港デモ参加者を白服集団が襲撃、45人負傷 三合会か、警察到着は1時間後 写真20枚 国際ニュース:AFPBB News



そんな近年のデモにおいて、スマートフォンアプリやSNSといった最新テクノロジーの存在は欠かせません。香港のデモにおいても、市民やデモ隊はメッセージアプリのTelegramを通じてコミュニケーションを取り、ゲーム配信プラットフォームのTwitchで抗議行動の様子をストリーミングするといったことが行われてきました。

ところがデモと警察の衝突が深刻化するに従い、警察や当局はオンラインの活動に対する規制を強めており、従来のコミュニケーション方法が使えなくなってしまったとのこと。そこで、デモ隊はTinderを使ってデートに人を招待すると見せかけて、実際には現地でデモを行うといった方法で規制をかいくぐってデモを組織しているそうです。

また、警察による妨害を防ぐためにポケモンGOのイベントも利用されており、警察にデモ行進をとがめられても「私たちはポケモンGOのイベントに参加しているだけだ」と主張して突っぱねることもある模様。以下の画像はポケモンGOのイベントを告知しているように見えますが、実際には現地でデモが開催されました。



さらに香港での抗議活動を中国本土の人々にも伝えるため、中国政府が誇る検閲システム「グレート・ファイアウォール」をかいくぐるべくiPhoneの「AirDrop」を使い、デモに関するメッセージを伝えるといった行動も取られています。

iPhoneの「AirDrop」が検閲の目をかいくぐる情報拡散方法として活躍中 - GIGAZINE



当局はさまざまな手段で、インターネットを使ったデモ隊組織や市民間のつながりを妨げようとしているようですが、抗議者側も工夫をこらしてコミュニケーションや情報拡散を行っているようです。