2002年日韓ワールドカップの決勝トーナメント1回戦、韓国対イタリア戦で“疑惑の笛”を吹いたバイロン・モレノ氏は先日、母国エクアドルでのインタビューで、「誤審」があったことを認めた。イタリアのジャンルカ・ザンブロッタに対する韓国選手のタックルがレッドカードに値したというのだ。

 エクアドル・メディアがインタビューの抜粋としてこの発言を報じると、イタリア・メディアは「モレノ氏が誤審を認めた」と大騒ぎとなった。だだ、本人はそれ以外の判定については問題なかったと考えているようだ。

 5月6日、インタビューの全体が放送され、『Sport Mediaset』などイタリア・メディアが再び取り上げた。これによると、モレノ氏は「自己採点するなら(10点満点中)8点だ」と、自身のレフェリングを高く評価した。

「(ザンブロッタに対するファウル以外のハードタックルは)見ていなかった。そうじゃなければ罰していたよ。アシスタントレフェリーたちがサポートしてくれなかった。(フランチェスコ・ココの流血については)韓国の選手ではなく、ジェンナーロ・ガットゥーゾとぶつかって切れたものだ」

「(パオロ・)マルディーニが頭を蹴られた場面は見ていなかった。私の位置からは見えなかったんだよ」
 
 当時、大論争となったのが、フランチェスコ・トッティを退場させた判定だった。1-1で迎えた延長戦で、ペナルティーエリア内で倒れたトッティに対し、シミュレーションで2枚目のイエローカードを出し、レッドカードを掲げたのだった。結局、後に勝ち越し点を奪われたアッズーリは1-2で敗れ、大会を去ることになった。

 そのジャッジに関してモレノ氏は、「韓国の選手が先にボールに触れ、それからトッティに触った」と、正当な判定だったと強調している。

「先にボールに触ったのは、トッティじゃない。そしてトッティは倒れた」

 イタリアのゴールがオフサイドで取り消されたシーンについても、「私の位置から、どうやって見ることができるんだ?」と、自らの責任ではないと主張した。

「オフサイドはなかった。だが、それは副審が言うべきことだ。オフサイドだったかどうかは、私に判断するのは不可能だ。副審が旗を上げたから、オフサイドと判定したんだ」
 
 モレノ氏は、さらにこんなことも明かしている。

「試合後にトッティや(ジョバンニ・)トラパットーニ監督と話そうとしたが、どちらもそれを望まなかった。私はイタリアに損害など与えていない。トッティに対するPKはなかった。おかしなことはまったくない」
 
 ついには、トラパットーニ監督の批判まで始めた。

「トラパットーニが臆病者だったんだよ。トッティが退場になってから、彼は(ダミアーノ・)トンマージを入れた。攻撃できる選手はアレッサンドロ・デル・ピエロだけだったんだ。いつも通り、トラパットーニが臆病だったのさ」

 ちなみにその試合では、トンマージは先発出場しており、トッティが退場した時には、デル・ピエロはすでにベンチに下がっていた。17年という月日が流れ、モレノ氏の記憶もあいまいになっているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部