マイクロブログサービスのTumblrは「アップロードされたデータの中に児童ポルノ画像が含まれていた」と発覚したことをきっかけに、2018年12月に成年向けコンテンツを禁止しました。しかし、Tumblrの掲げた規約が曖昧すぎるとユーザーの混乱を呼び、ユーザーが激減する事態となりました。そんなTumblrを所有するアメリカの大手通信企業・Verizonが売却先を探していると報じられ、世界最大のポルノサイトであるPornhubがTumblrの買収に名乗りをあげています。

Pornhub wants to buy Tumblr and restore site to former porn-filled glory | Ars Technica

https://arstechnica.com/information-technology/2019/05/pornhub-wants-to-buy-tumblr-and-restore-site-to-former-porn-filled-glory/

TumblrはアメリカのDavidvilleによって2007年からサービス提供が始まりました。Davidvilleはその後「Tumblr」に社名を変更し、業務をTumblrの運営に集中。Tumblrは2013年にYahoo!におよそ11億ドル(約1200億円)で買収されますが、2017年6月にVerizonがTumblrを含むYahoo!の全事業を44億8000万ドル(約5000億円)で買収し、TumblrはVerizonの傘下となりました。

そして、「児童ポルノを扱っていた」としてTumblrのiOSアプリがApp Storeから排除されてしまったことをきっかけに、Tumblrはすべての成年向けコンテンツを禁止すると2018年12月に発表しました。

Tumblrがアダルトコンテンツの禁止を発表 - GIGAZINE



Tumblrは成年向けコンテンツを簡単にアーカイブできるプラットフォームとして高い人気を得ていましたが、曖昧な規約で突然成年向けコンテンツを禁止した上に成年向けではないものまで警告されたことで混乱が生じ、多くのユーザーがTumblrを離れる事態に発展。わずか2カ月でTumblrのユーザー訪問数が全体の30%にあたる1億5000万も減ったと報じられました。

成年向けコンテンツを全面禁止したTumblrへのユーザー訪問数が1億5000万減ったことが判明 - GIGAZINE



Wall Street Journal(WSJ)は、「Verizonはメディア事業を安定させるため、Tumblrの買い手を求めている」と報じ、Verizonが購入してから2年足らずでTumblrを売りに出そうとしていると述べました。WSJによると、VerizonのTumblr売却は「現在進行中であり、いかなる取引にも結びつかない可能性がある」「VerizonがTumblrを売ることでどれだけの額を受け取るのかは不明」とのことで、具体的な買い手や条件については明らかになっていないそうです。

そんな中、Tumblrの買収に手を挙げたのが、YouTubeに次ぐ世界第2位の動画共有サイトであり、世界最大のポルノサイトでもあるPornhubです。Pornhubの公式Twitterアカウントは「Tumblr、Pornhubは両手を広げてあなたを歓迎します。私たちの数百万もいる素晴らしいコミュニティへようこそ」と述べ、Tumblr買収への意欲を明らかにしました。



Pornhubのヴァイス・プレジデントであるコリー・プライス氏はArsTechnicaのインタビューに対して「Tumblrは、性的嗜好(しこう)を探求し表現したいと願う人々にとって安全な避難所でした。成年向けエンターテインメントの熱狂的ファンにとってもそうです。Tumblrのプラットフォームから成年向けコミュニティが排除され、快適に成年向けコンテンツを楽しめなくなった人が離れていくことに、私たちはずっとがっかりしていました」と述べています。



by Marco Verch Professional Photographer and Speaker

また、プライス氏は「PornhubとTumblrという2つのブランドには確かな相乗効果があり、Tumblrの価値はPornhubによって引き出されるでしょう。私たちはTumblrのプラットフォームを買収することに非常に興味を持っていて、NSFWコンテンツでいつかTumblrがかつての栄光を取り戻すことを楽しみにしています」とコメントしました。