ゼリーが入っていない「ゼリーフライ」。ここ数年、ご当地グルメイベントなどで積極的にPR活動が行われ、知名度が急上昇したB級グルメだ。


左が「フライ」、右が「ゼリーフライ」

おひざ元の埼玉県行田市にはもう一つのご当地グルメ「フライ」もある。ゼリーフライに比べて大きく薄い――そして揚げていないという特徴を持つ。フライなのに。改めてどんな料理なのか、実際に食べてみた。

フライなのに全然違う

そもそもゼリーフライとは何だったっけ――今回は「フライ」だけでなく、こちらも改めて確かめてみた。

これはじゃがいも、おからをベースに小判型に整えて油で揚げたもの。衣がないおからコロッケといったところだ。ちなみに「ゼリー」は入っていない。明治時代の後期からすでに食べられていたようで長い間市民に愛されている。

値段は販売場所によって変わってくるが1個100円程度が相場。おやつ感覚で食べられるのが大きな魅力だ。


ゼリーフライ

味付けはソースで柔らかい味とソースの武骨な風味が一度食べると虜になる。行田に行く機会があれば両親から買ってきてとリクエストがあるほどだ。

ご当地グルメイベントに参加すると必ずと言っていいほど見かける存在で、手軽さも相まって知名度は高めだ。ネット上でも「やはり行田市といえばゼリーフライ」と言われるほどの存在だ。

一方、フライはそもそも油で揚げていない。

鉄板で作る薄いお好み焼きのようなもの。揚げていないのにこの名前になったのは何故なのか。行田市の観光ガイドによると行田周辺が布の産地だったことから「布来(ふらい)」になったという説など複数の説が紹介されているが、確かなことはわからない。

ゼリーフライに比べると知名度は若干低く、1枚のサイズが大きく食べ歩きには向いていない。


フライ。持ち帰りにしたため半分に折りたたまれている。

もっちりとしており、少し厚みのあるクレープといった印象が強い。味付けはソースだけでなく醤油との相性も良い。また、卵入りのフライを販売している店もあり、バリエーションは豊富。ゼリーフライと違って腹持ちが良いのも特徴でこれだけで1食を済ませても満足できる。


フライの断面。豚肉やネギも入っている。

ボリュームが少なくおやつとして食べられるゼリーフライに比べて、お店に入ってしっかりと食べる「フライ」は普及にあたっては不利なのかもしれない。とはいえ、持ち帰りも可能な店もある。家に帰ってもしっかり再加熱すれば美味しくいただける。

行田市が作成したマップによるとゼリーフライが24店、フライが28店あり、その内で両方とも扱っているのは8店だ。しかし、いざ市外に出て見ると取り扱うところが少ない。

県内のスーパーマーケットや総菜屋ならどこでも売っているほどの浸透度でもなく、行田の専売特許のような気もする。「こぜにちゃん」と「フラべぇ」というマスコットキャラクターまで作ってPRに奔走しているが、まだまだといったところ。

かなり局所的なグルメであるが、食べてみれば愛される理由がわかる。