JR東海道本線の貨物線に、横浜駅を通らない「羽沢線」とも呼ばれる路線があります。貨物列車と、平日の「湘南ライナー」など限られた旅客列車しか走らない路線ですが、一部区間は「本格的」に旅客化され身近な路線になりそうです。

平日は座席定員制の旅客列車も運行

 JR東海道本線では、平日に「湘南ライナー」や「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」という座席定員制の通勤列車が運行されています。「湘南ライナー」の場合、運行本数は朝の上り7本と夜の下り9本。東京駅または品川駅と、小田原駅(神奈川県小田原市)のあいだを結びます。


東海道貨物線(羽沢線)の横浜羽沢駅(2015年9月、草町義和撮影)。

 神奈川県西部の湘南エリアと東京都心を結ぶ列車ですから、横浜駅には停車しないダイヤを組んでいます。しかも、上り5本と下り1本は横浜駅を通過するのではなく、そもそも横浜駅を通りません。これは「東海道貨物線」という貨物線を走っているためです。

 2019年3月21日(木・祝)、その東海道貨物線を走る団体列車に乗りました。この団体列車は、府中本町駅(東京都府中市)から貨物線の武蔵野南線を走行。東海道本線(京浜東北線)の鶴見駅で、武蔵野南線から東海道貨物線に移りました。

 貨物列車の運転士になるか、「湘南ライナー」などに乗らない限り見ることのできない「貨物線の車窓」に期待は高まりますが、列車はすぐトンネルに入ってしまい、窓の外は暗闇が5分ほど続きました。

 トンネルから出てしばらくすると、貨物駅の横浜羽沢駅(横浜市神奈川区)を通過。進行方向左側の窓には、多数の線路とコンテナを載せた貨物列車の姿が見えます。一方、右側の窓には真新しい茶色と黒の建物が、一瞬見えました。「羽沢横浜国大」という工事中の新駅です。

 ここを過ぎると、再びトンネルの暗闇に包まれます。6分ほどで外に出ると、進行方向の左側に東戸塚駅(横浜市戸塚区)の姿が。鶴見駅が横浜駅の北東側にあるのに対し、東戸塚駅は南西側で、横浜駅を通らずに東京寄りから小田原寄りへ抜けました。

もうすぐ土休日も乗れるように

 東海道貨物線は、東海道本線の貨物支線の総称です。今回乗車した団体列車は、鶴見〜横浜羽沢〜東戸塚〜小田原間で東海道貨物線を走行。このうち「羽沢線」などと呼ばれている鶴見〜横浜羽沢〜東戸塚間の16.0kmは、横浜駅から離れた丘陵地帯をトンネルで貫いています。


団体列車に乗って横浜羽沢駅を通過する(2019年3月21日、草町義和撮影)。

 羽沢線は1966(昭和41)年に国鉄が建設計画を発表。1979(昭和54)年10月1日に開業しました。東海道本線の貨物列車が羽沢線を経由するようになったため、横浜駅を経由する線路に余裕が生まれ、旅客列車を増発することができました。

 一方で羽沢線にも列車を増発する余裕があったことから、1993(平成5)年からは座席定員制の通勤列車が走るようになりました。ただ、この列車は平日のみの運行。臨時列車や団体列車が運転されない限り、土休日に羽沢線を利用することはできません。

 しかし、羽沢線の一部は近いうちに、旅客列車が土休日も含めて多数運転されるようになります。これは相模鉄道(相鉄)の西谷駅(横浜市保土ケ谷区)と、横浜羽沢駅を通過中に見えた羽沢横浜国大駅までを結ぶ相鉄・JR直通線(相鉄新横浜線の一部)が、2019年11月30日(土)に開業するため。羽沢横浜国大駅の鶴見寄りで相鉄・JR直通線の線路は羽沢線と接続し、相鉄線とJR線を直通する旅客列車が走るようになるのです。


団体列車の窓から羽沢横浜国大駅の駅舎(右上)が一瞬見えた。

2019年3月28日に報道公開された羽沢横浜国大駅。写真右側に横浜羽沢駅がある。

羽沢横浜国大駅の鶴見寄りにある線路。4線のうち両外側の2線が羽沢線につながる。

 詳細な運行計画は2019年3月29日(金)時点で未発表ですが、直通列車は朝ラッシュ時に1時間あたり4本程度、それ以外の時間帯も1時間あたり2〜3本が運行される予定。相鉄線の二俣川駅(横浜市旭区)からJR新宿駅までの所要時間は約44分とされており、横浜駅で相鉄線からJR線に乗り換えるルートに比べ、15分程度短縮されます。

【地図】相鉄が直通! 羽沢線のルート


東海道貨物線のうち「羽沢線」と呼ばれている区間(赤)は横浜駅から離れたところを通る。相鉄・JR直通線(青)が開業後は相鉄線から羽沢線に乗り入れる旅客列車が高頻度で運行される(国土地理院の地図を加工)。