睡眠と自律神経とダイエット

ついつい削ってしまいがちな睡眠時間ですが、睡眠不足は百害あって一利なし。そしてダイエットにも悪い影響を与えます。
ダイエットには自律神経が深くかかわっています。自律神経とは、自分の意思とは関係なく、内臓や血管など体内の機能をコントロールしている神経です。活動モードにするために、体のあらゆるところを調整する交感神経、休息モードに調整する副交感神経があります。
睡眠不足になると休息モードである副交感神経優位の時間が短くなり、交感神経が優位な状態が続きます。それによって、食欲や報酬系、睡眠や覚醒に関係する神経ペプチドである「オレキシン」が出すぎてしまい、摂食行動が止まらなくなってしまいます。
また、自律神経のバランスが悪くなることで、食欲にムラが出たり、むくんだり、代謝が下がるだけでなく、消化不良になったり、便秘になるなど胃腸にも影響が出ます。インシュリンの抵抗性も高まるため、この状態が続くと血糖値が下がりにくくなり、太ってしまうリスクが増えるのです。

◇睡眠不足が影響すること

【脳】
脳の中にある自律神経をコントロールするネットワークが興奮しっぱなしになり、「お腹いっぱい」という信号を無視するなど、食欲を調整する機能が不安定に。

【脂肪】
交感神経は脂肪を燃やしますが、それには交感神経が活性化していることが必須。ただし、ずっと交感神経優位になっていると、むしろその働きは低下してしまう。

【血管】
抹消血管が収縮するので、血流が滞り、足や手などが冷える。血流が滞るということは、せっかく栄養に気をつけてダイエットを進めていても、必要なところに栄養が届かなくなるということ。

【胃】
消化や吸収は副交感神経の働き。交感神経が優位の状態が続くと、せっかく考えて摂っている食べ物自体がきちんと消化されず、栄養となる前の段階で体に吸収されない。

効果的なダイエットには、自律神経がしっかり働くことが重要です。良質な睡眠で、活性化しにくい副交感神経の機能を高め、二つの自律神経を活性化したいものです。

ライター:幸雅子
出典:『ヨガで健康を!』/「ダイエットと睡眠は関係ある?」
監修:石井正則/医学博士。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。ヨギーインスティテュート認定インストラクター・専門講師。