「スポーツ・イラストレイテッド」が発表、元巨人マイコラスも100位以内

 アメリカで最も権威あるスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」電子版が「2019年のMLB選手トップ100」を発表。日本人ではエンゼルス大谷翔平投手が唯一、選出された。さらに、巨人からカージナルスに移籍して昨季ナ・リーグ最多勝に輝いたマイルズ・マイコラス投手もランクイン。大谷について、同誌は「球界で最高の選手ではないが、最も驚くべき選手」と評している。

 ランキングは、同誌の元記者や現記者によって作成されたWAR(Wins Above Replacement)に重きを置いたデータを使い、スタッフが行った数日間の議論を基に作成しているという。WARはメジャーリーグで最も重視されているセイバーメトリクスの指標の1つで、様々な指標を総合して、ある選手が走攻守の全てを合わせて、どれだけ勝利に貢献したかを評価するもの。どれだけチームの勝利を増やしたかを表している。

 まず、マイコラスは93位で登場。寸評では「マイルズ・マイコラスはパドレスとレンジャーズで合わせて3シーズンプレーした後、MLBから消えた」と、来日前の“鳴かず飛ばず”だった時代について紹介。「それは日本での素晴らしい3年間を過ごす以前の話である。それにより、彼は契約に至るだけの十分な注目をカージナルスから集めた」と、巨人での圧倒的な活躍でメジャー復帰を掴み取った経緯にも言及している。

 昨年の見事な“サクセスストーリー”については「彼はその機会を存分に生かし、防御率2.83、WHIP(1イニングあたりの四球+安打)1.07、200回2/3を投げ、18勝した。さらにオールスターにも選出された。彼は誰も歩かせず、凡打の山を築いた。それは間違いなく成功を掴むための秘訣と言えるだろう」と指摘。「重要な数字」として「3.6%」という数字を記した。「マイコラスの昨年の四球率は2018年のメジャーで最高であり、過去10年で11番目に良い成績だった」。ストライクゾーンを積極的に突く投球こそが、成功を呼び込んだと分析している。

大谷は「最高の選手ではないが…」、2019年のMLB選手トップ10は?

 そして、1年目から二刀流でメジャーを沸かせた大谷は58位で登場。寸評では「2018年ア・リーグの新人王は球界で最高の選手ではないが、彼は最も驚くべき選手だ」として、58位とは思えない賛辞の言葉が並んでいる。

「彼とベーブ・ルースだけがメジャーリーグの歴史上、同一シーズンで50イニングの登板と15本塁打を記録した。彼に刺激を受け、二刀流に挑戦している子供たちはまだプロの世界にはいないが、球界のフロントオフィスの人間たちは、この考え(二刀流)に対し、より安心できるようになってきている」

 大谷が二刀流で結果を残したことで、米球界の流れは確実に変わりつつある。一方で、今季は打者一本でのプレーとなることから、大谷が担う役割については「パートタイムの指名打者に格下げとなることだろう」とも言及。昨年10月にトミー・ジョン手術を受けたため、2020年までマウンドに上がることはないという事実にも触れている。

 もっとも、最後に「決定的な数字」として「15」を紹介。これは、昨季後半戦のホームラン数で「オールスター休暇後の本塁打数はアメリカン・リーグで3位タイ。彼が完全に打者だけに専念したら、今年はそうなる予定なのだが、危険な存在になるはずである」と指摘。打者だけでも十分に価値のある選手との評価だ。大谷が最初の1シーズンで残したインパクトはやはり大きかった。

 なお、「スポーツ・イラストレイテッド」が選出した2019年の“選手10傑”は以下の通りとなっている。

10 アーロン・ジャッジ外野手(ヤンキース)
9 コーリー・クルーバー投手(インディアンス)
8 ノーラン・アレナド内野手(ロッキーズ)
7 ジェイコブ・デグロム投手(メッツ)
6 クリス・セール投手(レッドソックス)
5 ホセ・ラミレス内野手(インディアンス)
4 フランシスコ・リンドーア内野手(インディアンス)
3 マックス・シャーザー投手(ナショナルズ)
2 ムーキー・ベッツ外野手(レッドソックス)
1 マイク・トラウト外野手(エンゼルス)(Full-Count編集部)