問題となっているのはアニメ映画『Luck(原題)』。人間たちの生活の裏で密かに繰り広げられていた「幸運の組織」と「不運の組織」のバトルが明らかになるというコメディアニメ。アカデミー賞女優エマ・トンプソンが声で出演することで注目を集めていた。

でも目玉だったエマが降板することが明らかに! 原因はかつてディズニー・アニメーション・スタジオとピクサーでチーフクリエイティブオフィサーを務めていたジョン・ラセター。ラセターは映画『トイ・ストーリー』など数々のヒット作を手がけたことで知られているけれど、女性社員に対してセクハラ行為をしていたことが2017年11月に発覚! 休職期間を経て、2018年末にディズニー・アニメーション・スタジオを去っていた。

そのラセターがあっという間に表舞台に復帰。今年初め、制作会社スカイダンス・プロダクションズのアニメ部門のトップに彼を起用することを発表した。これには多くの映画制作者の組織や俳優たちから反対の声が。ラセターのセクハラ行為を告発した女性社員たちに対する脅威になると批判されていた。エマの降板も起用に対する反対の姿勢を示すためだと見られている。

セクハラ撲滅のために活動している「Time's Up」もラセターの起用に反対している組織の1つ。「スカイダンスがラセターを起用したことは、力を持つ男性が結果を顧みずに行動するのを許す壊れたシステムを後押しし、蔓延させている」「これまでずっとないがしろにされてきた多くの才能ある人の声を応援しなくてはいけないときに、スカイダンスは職場でのセクハラで繰り返し訴えられてきた男性に権力と名声と特権を伴う地位を与えている」と痛烈に批判している。

スカイダンスは映画『ミッション:インポッシブル』シリーズなども手がける大会社。エマの降板をきっかけに、他の俳優たちが同じような態度を示す可能性もある。今後の動きに注目したい。

text: Yoko Nagasaka