奈良県の橿原学院野球部には現在2学年で部員28人が所属している。選手たちを1人で支える2年生マネージャーは、どのような思いで日々の活動に励んでいるのか。彼女の活動の様子を見てみた。
選手を支えるためにも自分の体調を整えるのも大事な仕事ティーボールを作っている様子28人の選手を1人で支えるマネージャー・川端麻友さん(2年)はもともとソフトボールをやっていたことと、野球が大好きでよく観戦に行っていた事からマネージャーを始めた。
飲み物を出したり、草抜きをしたり、ボール拾い、時には部室やまわりの掃除なども行い、日々選手を一生懸命サポートしている。なかでも試合の時のスコアを書いている時が楽しい時間で、ペンやメモ、ばんそうこうがおすすめのマネージャーグッズだ。
もしマネージャーをしていなければ、自分から積極的に動くことができないままだったと語る川端さんにとって、多くの活動をできるようになったのは大きな変化だろう。
日々の中で、川端さんは選手からの「ありがとう」の一言や、自分を頼って「○○やっておいて」という言葉にやりがいを感じている。なかでも、「マネージャーでいてくれてありがとう」という言葉がとても嬉しく、「みんなのマネージャーができていることが嬉しい」と話す。
「選手たちから誕生日プレゼントをもらったことは印象的なエピソードです」と話してくれた川端さん。たった1人で28人の選手たちを支えている彼女にとって、選手からのプレゼントはこれ以上ない自慢となるだろう。
川端さんは上下関係で上手くいかずに挫折しかけたこともあったが、マネージャーになって周りをよく見るようになったり、自然と挨拶ができるようになったり、体力もついたと話す。また、選手を支えるためにもまず自分の健康管理をしっかりするということを心がけているそうだ。
みんなが頼りやすいしっかりとしたマネージャーになる!笑顔を見せる川端麻友さん今年の夏、特に記憶に残っている試合はどの試合だったかと尋ねると、7月27日の佐藤薬品スタジアムでの奈良大附戦だと答えてくれた。
1日でも長く三年生と過ごしたかったが、惜しくも敗れてしまい、悔しくて涙にくれた1日になったからだ。川端さんにとって三年生の先輩たちとは、時にふざけ合い、困ったことがあったら何でも話せる、頼りになる存在だった。
そんな三年生が引退して1人になってしまうことへの不安を抱いていたとき、「先輩が言ってくれた『頑張れ』や『よろしく』は心に残っています」と川端さんは話す。
先輩からのメッセージを胸に、新チームでの活動を開始した川端さんだが、特に思い出に残っている試合は、9月2日の佐藤薬品スタジアムでの高田商戦だ。
この試合は負けてしまったが、「(甲子園出場経験もある)高田商を相手に一気に4点入れてくれたときは嬉しかったです。選手がファインプレーをしたあと、みんなが手を挙げて100点の笑顔になっていると自分もますます嬉しくて笑顔になってしまいます」と答えてくれた。
最後に、日々練習に取り組むチームの選手に向けてメッセージをいただいた。 「たくさん練習をして、悔いを残さない野球生活を送って欲しいです。そして甲子園に連れてって欲しいです!」
「一言でいうとマネージャーとはどんな存在か」という問いには「よくわからないです」と答えた川端さん。 たった1人のマネージャーとして、ときには心が折れそうになることもあるだろうが、「みんなが頼りやすいしっかりとしたマネージャーになりたい」という川端さんの言葉に、選手たちへの熱い思いを感じた。そんな川端さんが最後の夏を迎えるころ、きっと彼女の心のなかには「マネージャーとは」という問いへの答えも見つかっていることだろう。
(文=編集部)