iPhoneやiPadのOSとして知られるiOSを搭載したデバイスは、Appleが運営するApp Store経由でしかアプリをインストールすることができません。しかし、iOSの脆弱性などを突いてジェイルブレイクすることで、App Storeには存在しないアプリをインストールしたり、正常なiOSにはない動作が可能になります。そんなジェイルブレイクしたiOSで広く使用されているアプリストアの「Cydia」は、PayPalなどの決済システムを使って有料アプリを購入できる「Cydia Store」を運営していたのですが、このCydia Storeが閉鎖されることが明らかになっています。

The App Store for jailbroken devices, Cydia Store, officially shuts down - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2018/12/14/the-app-store-for-jailbroken-devices-cydia-officially-shuts-down/

Cydia Storeの閉鎖は製作者のSaurik氏により、海外掲示板のReddit上で報告されました。Saurik氏は「2018年末までにCydia Storeを完全に閉鎖したいと考えている。このサービスにより私はお金を失っており、維持するための情熱も既に持ち合わせていません」と記しています。

[News] Andrew Wiik recommend that everyone removes their saved paypal info from their cydia account until further notice. : jailbreak

https://www.reddit.com/r/jailbreak/comments/a5wfq9/news_andrew_wiik_recommend_that_everyone_removes/ebpur5a/



この決断は、Cydia Storeで発見されたバグが大きな原因となっている模様。

Cydia Store閉鎖のきっかけとなったバグは、開発者のAndrew Wiik氏が発見したもの。ユーザーが有料アプリをCydia Storeから購入するためにPayPalアカウントを使用していますが、悪意のある第三者がCydiaアカウントのリポジトリを閲覧することで、他人のPayPalアカウントを使って任意のパッケージ購入できるというバグでした。



このバグを受け、あらためてCydia Storeの開発が労力に見合わないと感じたSaurik氏が、2018年内にCydia Storeを閉鎖することを発表したというわけ。記事作成時点で、Cydia Storeはバグへの対処のために購入行為が無効となっており、ユーザーはCydia Store経由でアプリを入手することができなくなっています。

なお、ジェイルブレイクコミュニティではほとんどの開発者がアプリ入手のためにCydia Storeを使うことがなくなっているため、コミュニティ全体に与える影響は「それほど大きなものではない」とApple関連メディアの9to5Macは報じています。

Cydia Storeの製作者であるSaurik氏によると、閉鎖の詳細については今後正式なリリースを行うとのことです。