2019年初頭にも2度目の米朝首脳会談が実現する可能性が高まるなか、拉致問題解決に向けた日朝首脳会談の道筋は見えないままだ。
それどころか、北朝鮮メディアは相次いで日本批判を展開しており、慰安婦問題などを引き合いに、日本を「拉致王国」呼ばわりするほどだ。
「特大反人倫犯罪行為」「特大型の拉致犯罪国家」
北朝鮮がやり玉に上げているのは、日本が国際社会に対し拉致問題解決に向けた協力を求めている点だ。朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は18年12月2日付の論評記事で、安倍晋三首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のためにシンガポールを訪問した際、ASEAN首脳に対して協力を求めたことについて、
「日本軍性奴隷犯罪をはじめ、過去の日本の特大反人倫犯罪行為を上書きしようという卑劣な策略」
などと非難。朝鮮出兵として知られる文禄・慶長の役(1592〜93、1597〜98)、大韓帝国最後の皇太子、李垠(リ・ウン、1897〜1970)の訪日、慰安婦問題などを引き合いに、
「世界的に公認された特大型の拉致犯罪国家は、まさに日本だ」
などと主張した。さらに、
「日本の当局者が、すでに解決された拉致問題を持ち出して卑屈な請託外交を繰り広げていることこそ、盗人猛々しい妄動」
だとして、「拉致問題は解決済み」だとするこれまでの立場を繰り返し、
「国際社会は、拉致王国である日本の図々しさに憤怒を感じている」
とした。
慰安婦合意は「完全に廃棄」主張
12月4日付の論評記事では、15年末の慰安婦合意に基づいて設立された財団の解散について、「南朝鮮の各階層は、これを一斉に歓迎」しているとして、韓国は合意を「完全に廃棄」すべきだと主張。「日本の永遠の罪を決算するための闘争をさらに果敢に展開」すべきだとした。
菅義偉官房長官は12月3日の会見で、米朝首脳会談が日朝首脳会談の実現に与える影響について聞かれ、
「日朝首脳会談については、その時期を含め、決まっていることは何もない。北朝鮮との間では、北京の大使館ルート等、様々な手段を通じてやり取りを行っているが、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、詳細については控えたい」
まどと述べるにとどめた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)