人間関係を危うくする要因とは、何だろうか?

その1つに「口臭トラブル」がある。
現代は、ある意味、「清潔感」の時代だ。
・職場や取引先
・学校
・ママ友会
など、口臭が原因で、人間関係がギクシャクすることは意外にある。

口臭トラブルは、自分では自覚できてないケースが多いことも厄介な問題だ。

そこで役立ちそうなのが、ライオンの「口臭リスク」と「歯ぐきの状態」を可視化するスマホアプリだ。

幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2018」のライオンブースで体験してみた。


■スマホで口臭リスクを見える化する – ライオン

「CEATEC JAPAN 2018」のライオンブース



●舌の写真から口臭リスクをチェックする「口臭ケアサポートアプリ」
「口臭ケアサポートアプリ」は、ライオンが開発中の口臭のリスクをスマホで確認できる。
スマホのカメラで舌を撮影すると、アプリが舌の汚れの状態を分析して、口臭リスクを表示してくれる。
つまり「口臭リスクを見える化」するアプリなのだ。

早速、口臭リスクをチェックしてみる。

アプリを起動し、舌を出して、スマホのカメラで撮影する。

舌の汚れ状態(口臭リスクレベル)は、「01」から「05」の5段階で表示される。
数字が小さいほど口臭は低い。

筆者の結果は「01」と、口臭リスクは低いという結果となった。
少し安心した。


口臭リスクレベルは「01」、リスクは低いという結果


「口臭ケアサポートアプリ」は、口臭レベルを測定するだけではない。
測定結果が表示された後に、口臭予防に必要な、知識や対策が表示される。
こうした、自分の口臭レベルの測定と対策を知ることによって、口臭対策ができる。

オーラルケアへの意識と知識を得ることで、自分自身でのケアを促すのが、「口臭ケアサポートアプリ」の狙いなのだという。


口臭予防に対する豆知識や対策が表示される


●口臭に不安のない世界を作っていきたい – ライオン道林氏


ライオン株式会社 研究開発本部 イノベーションラボ研究員 道林千晶氏


口臭は、意外に自分ではわかりづらい。
また口臭トラブルは、個人だけでなく、業務やビジネスにも、影響を与える。
・店舗スタッフの口臭が原因で、お客さんに避けられる
・上司や同僚の口臭が原因で、会話などのコミュニケーションが減る

口臭は、対面での仕事や業務において、高感度やコミュニケーションの低下を招く1つの要因にもなりかねないのだ。

ライオン株式会社 研究開発本部 イノベーションラボ研究員 道林千晶氏
「会社さんにご導入いただけないかなと考えています。
・営業機会の損失を防ぐ
・コミュニケーションの円滑ツール
として、
・手洗い
・うがい
・口臭チェック
このように、身だしなみとして、企業さん向けのBtoBサービスとして提供していきたいと考えています。」

「私たちは口臭に不安のない世界を作っていきたいと考えています。」と、インタビュー取材に応じてくれた、ライオン株式会社 研究開発本部 イノベーションラボ研究員 道林千晶氏。


営業現場の人、会社で働いている人、さまざまなケースの人が考えられるが、口臭リスクをチェックするためだけに特別なチェッカーを持ち歩くのは面倒くさい。
そこでスマホだけで何とかできるシステムを考えたというわけだ。

道林千晶氏
「口臭リスクをチャックするにはどうすればよいのか?
実は、口臭の6割の原因は舌苔にあることがわかりました。
舌を見れば、ある程度の口臭値がわかるので、何とかなるのではないかと。

実際に
・綺麗な舌の人
・ちょっと汚れた舌の人
こうした人たちを集めて、舌の画像と口臭値をとりました。
それを機械学習(AI)にかけたところ、精度が高いアルゴリズムが得られました。」

ライオンでは、こうしたデータをもとにオーラルケアの見える化を実現したという。

道林千晶氏
「AIのアルゴリズムをアプリに搭載したので、舌を撮影するだけでも口臭値がわかります。
でも、それだけだと片手落ちです。

たとえば、『ちょっと口臭がつらいですよ』という結果が出てしまったとき、
『じゃあ、どうすればよいの』といった声が、既存のチェッカーからありました。

そこで会社さんに導入していただくには、
口臭のケア方法もアプリで紹介させていただいて、ケア剤も使っていただこうと。

・いつでもどこでもケアできるケア剤の紹介
・アプリで、どこでもチェック&ケアできる
こうして営業やコミュニケーションを積極的にしていただく。

安心した世界を作っていただく。
そう考えています。」

●センサーではなく、AIで口臭レベルをチェック
「口臭ケアサポートアプリ」で注目したのが、口臭レベルをセンサーではなく、画像で判断するという点だ。
ここが最も難しかったという。

道林千晶氏
「弊社には、
・機械学習の知見
・アルゴリズムを作成する知見
これらがあまりない状況でした。
そこで富士通クラウドテクノロジーズさんと一緒に相談しながら、データを集めまして一緒に調整しました。」

口臭の主な原因は「舌苔(ぜったい)」であり、「垢」と「細菌の塊」からできている。
細菌はくさいにおいを発生させるので、息をしたときに口臭になる。
歯磨きをするときに気持ち程度でも舌をなでてやると、かなり口臭予防につながるとのこと。

現在実用化に先駆けて、東急百貨店本店の接客スタッフを対象とする実証実験を実施している。


■スマホで歯ぐきの健康を見える化
ライオンでは、スマホで歯ぐきの健康を見える化するという試みも実施している。
こちらも試してみた。
アプリを起動したら、「い」を発音する口で、歯ぐきをスマホ(またはタブレット)で撮影する。


このように白い枠の中に歯ぐきを合わせて写真を撮る


撮影した写真から、歯ぐきの健康度を判定してくれる。
筆者の場合には、「ふつう」という結果になった。


結果は「ふつう」だった


●オーラルケアを気づかせるキッカケにしたい – ライオン木村氏

ライオン株式会社 オーラルケア研究所 主任研究員 木村光夫氏


ライオン株式会社 オーラルケア研究所 主任研究員 木村光夫氏は、歯ぐきを含め、オーラルケアの研究をしている。

ブースに参考出品していたアプリは、まだ歯ぐきを表面しか見ることしかできないので、歯の奥や歯の裏側はチェックできないという。そのため定期的に歯科検診に行く必要があるという。

ライオンでは、「予防歯科」を評語としている。
予防歯科には、
・歯医者に行く「プロケア」
・自分でやる「セルフケア」
この2種類がある。

木村光夫氏は、今回のアプリの位置づけとして。
「セルフケアで、なかなかうまく行ってないオーラルケアを気づかせるキッカケになればいいなと思って取り組んでいます。」と語る。

虫歯は罹患率が下がっているが、歯周病はなかなか減少していないという。
歯周病は成人の約8割がかかっていると言われているそう。

それは、なぜ、だろう?

歯ぐきの状態は自分で鏡を見ても、わかりづらい。
客観的にチェックするツールとして、今、開発しているそうだ。

今回のアプリは、まだ開発段階。
今まさに模索している状況なのだという。

ちなみに歯ぐきを写真で出すのは、なかなか難しいらしい。

木村光夫氏
「難しいですね。
自分でガッと口を広げて誰かに撮ってもらうとか、そこら辺のUI、UXの使いやすさとは、まだまだこれから作り込む必要があると考えています。
今、技術開発をしているという段階です。」

将来的には、AppStoreにアップしたりする展開はあるのだろうか?

木村光夫氏
「まだそこまで決まっていません。
これを一般にAppStoreで展開しても、おそらく誰も使わないと思うので。
今回は、どういった方が興味をもっていただけるのかっていうところを探るために、参考出展しています。
どういった企業さんが興味に興味を持っていただけるのか?
ビジネスパートナー探しといったことも含めた参考出展となっています。」


ITライフハック 関口哲司