23日のマリ戦では、ワールドカップの日本代表に対して不安材料しか生まれませんでした。唯一の救いは最後に中島翔哉がゴールを決めて同点に追いついたことぐらいでしょう。

日本代表の選手たちは一対一の局面では攻守において劣勢でした。日本の選手がプレッシャーをかけられるとボールを奪われたりパスミスしたりしたのに対し、マリの選手は日本が3人で囲い込んでも突破していました。

もちろん、今回も新しい選手を入れてチームを作っているため、コンビネーションなどはまだできていません。ただし、どんなゲームでも個人で攻めたり、ボールをキープしたり、あるいはボールを奪わなければいけなくなる局面は発生します。

サポートが遅くてパスの出しどころがないという場面は、自分でどうにか打開しなければならないのです。マリ戦でそのスキルを日本人選手が見せたことはほとんどありませんでした。これでは劣勢に回っても仕方がありません。マリ戦を見ていると、連係プレー以前に個人の能力の差が大きいことが明らかでした。

中島に関して言えば、確かにボールを奪われる場面はありました。それでも何度も前を向き、仕掛けたりシュートを打ったりしていた姿勢は持っていました。それが最後に3人に囲まれながらもパスを出し、ゴール前まで走り込んでゴールを奪ったプレーに結びついたのだと思います。残念なことに日本全体で言えば、そんなプレーはごくわずかでした。

セネガルは、マリより個人もチームの力も上回っています。そんなセネガルに対し簡単にボールを入れて早く攻めるというのは間違いないのですが、マリ戦を見ていてもわかるとおり、それだけでは相手のシステムを崩せません。もっと柔軟に戦うことも必要だと思います。

この試合でワールドカップメンバー入りを確実にした選手は、誰もいませんでした。ということは、この日スタメンじゃなかった選手たちにとっては、まだまだチャンスが転がっているということです。次のウクライナ戦での選手たちの奮起を期待しています。