名古屋大学大学院環境学研究科の角皆潤教授らは、滋賀県の琵琶湖での硝酸の年間生産量の算出技術を開発した。湖での硝酸の酸素同位体異常濃縮度を定めて降水による硝酸の比率を求め、硝化菌が硝酸を生産する量を算出した。

 光合成の季節変化に合わせて夏は速く、冬は遅くなる傾向があるほか、年間生産量は河川からの総流入量の3倍以上だと分かった。湖沼や沿岸部の富栄養化や生態系構造変化の原因究明につながる。

 角皆教授らは、降水による硝酸が特定の酸素同位体を異常に濃縮することに着目。異常濃縮は、一般の化学反応では変化せず、硝化由来の硝酸と混合したときだけ減少する。

 このため、異常濃縮度を定量化すれば硝酸生産量算出できると考えた。また、琵琶湖では窒素栄養塩を何度もリサイクルして有効利用している生態系の発達が分かった。

 研究成果は米陸水・海洋学会の科学誌リムノロジー・アンド・オーシャノグラフィー電子版に掲載された。