2016年12月にAmazonが発表した、レジでの支払いをせずに商品を持ってそのまま店から出て行くことができる新しいタイプの小売店舗が「Amazon Go」です。レジでの支払いがないのでお会計待ちの長蛇の列がレジ前にできあがることもありません。そんなAmazon Goを支えるのは自動運転カーにも用いられるコンピュータービジョンやディープラーニングといったテクノロジーで、時代の最先端をゆくショッピング関連技術を肌で感じながら買い物ができるというお店になっています。
Amazon.com: : Amazon Go
https://www.amazon.com/b?node=16008589011
Amazon Goがどのようなお店で、どうやって品物を購入することになるのかは以下の記事をチェックすればよくわかります。
レジで行列や支払いをせずそのまま店から出られる画期的な店舗「Amazon Go」が2017年オープン - GIGAZINE
早ければ2017年にもオープンするといわれていたAmazon Goの1号店ですが、開店は2018年1月22日にまでずれ込むこととなりました。予定されていた通り、アメリカ・シアトルの以下の住所にAmazon Goの1号店はオープンしています。
Amazon Goでは地元で人気のシェフやレストランのメニューから、パンや牛乳、チョコレートなどの食料品や必需品まで幅広く取りそろえられています。「あとは調理するだけ」の食材キット「Amazon Meal Kits」も販売されているので、購入して自宅で調理すれば30分足らずで豪華な食事にありつくことも可能です。
Amazon Goを利用するのに必要なのは、Amazonアカウント、無料で利用可能なAmazon Goアプリ、そしてアプリに対応したiPhoneまたはAndroidスマートフォンの3つ。営業日は月曜から金曜までで、営業時間は7〜21時となっています。店舗の敷地面積は約1800平方フィート(約167平方メートル)で、「繁華街で暮らすお客様が素早く出入りできるようにコンパクトで便利にしている」とのこと。
電子商取引の雄であるAmazonがオープンする実店舗のAmazon Goをオープン前に体験してきたというメディアが、店舗の中や実際の買い物の流れがどのようなものであったかをレポートしています。
Inside Amazon Go, a Store of the Future - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/01/21/technology/inside-amazon-go-a-store-of-the-future.html
Amazon Go, a high-tech version of a 7-Eleven, will finally open on Monday - with no checkout lines and no cashiers - Recode
https://www.recode.net/2018/1/21/16914188/amazon-go-grocery-convenience-store-opening-seattle-dilip-kumar
自動改札機のような見た目のこの機器は、入店時にAmazon Go専用のスマートフォンアプリをかざすためのゲート。
専用アプリで表示したバーコードをかざして入店します。
入店後、最初に出迎えてくれるのはサラダ・サンドウィッチ・飲み物のほか、調理済みの朝食・昼食・夕食などが置かれたコーナー。日本のコンビニのお弁当コーナーのような見た目です。
その一角にはAmazon Meal Kitsが置かれたスペースもあります。
店内ではオレンジ色の「Amazon Go」と書かれた買い物袋を使用。レジがないのでカートやカゴを使わずに、買い物袋に直接商品を入れていきます。
ビールやワインといったお酒類はかなり豊富に取りそろえられており、コンビニとスーパーの中間のような品揃えの印象を受けます。
店内の天井にぶら下がっている無数の黒色の箱は、カメラやセンサーを搭載しており、これを用いてユーザーがどの商品を買い物袋に入れたかを検知します。Amazonは「自動運転カー技術に用いられるコンピュータービジョンやディープラーニングといったテクノロジーを活用している」とだけ説明しており、その他の詳細は不明です。しかし、商品に特別なチップなどを付けることなく、全ての商品を識別可能になっているため、その技術力はかなりものであることがうかがい知れます。
Amazonが過去最大の1兆5000億円で高級スーパーマーケットのWhole Foodsを買収したため、同社のブランドである365 Everyday Valueのポテトチップスやクッキー、ナッツなども専用の棚で販売されています。
調理済みのお弁当などは併設されたキッチンで調理されている模様。調理の様子も丸見えなので、顧客側も安心して購入できるようになっています。
RecodeはAmazon Goを、「表面的にはセブン-イレブンがハイエンドに変身したような店舗」とわかりやすく表現しています。Amazon Goではレジでの支払いが一切不要なのでレジ打ち要員が不要なわけですが、Recodeによると店員が一切いないというわけではなく、入り口には挨拶をする警備員が立っており、お酒類が常備されている棚の近くでは年齢確認を行うための店員が待機しています。また、外からも見えるオープンキッチンには常時6人ほどの店員が働いているとのこと。
店内を見回っているという店員はこんな感じ。オレンジ色のユニフォームを着用しており一発で店員とわかるようになっています。
なお、Recodeの記者が実際にAmazon Goで買い物にチャレンジした際は、買い物袋に入れた商品が正しく認識され、レジを待つ必要もないので1分もかからずに店舗から出ることができたそうです。
The New York Timesの記者はAmazonの許可を得て店内のカメラシステムをだまして商品を万引きできるか試したそうです。4本のバニラソーダを買い物袋で包み、一度棚に戻してから腕で抱えて店内から出て行ったそうですが、店内のカメラシステムはしっかり4本のバニラソーダを認識しており、専用アプリ上では料金がしっかり請求されています。画面下部には「お買い物ありがとう!」というメッセージも表示されています。
実際のオープンとなると商品を違う棚に戻したり、店内が混雑したりでシステムがユーザーの買い物袋の中の商品を正しく認識できない可能性もありますが、Amazon Goのオープンが2017年から2018年にまでずれ込んだのはこのシステムの改良に時間を取られたからともいわれています。
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