<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇12日◇太平洋クラブ 御殿場コース(7,246ヤード・パー72)>

最愛の美保夫人が1番ホールから見守る中、圧倒的なプレーをみせた。3位タイから出た小平智が8バーディ・1ボギーの“65”をマーク。スコアを7つ伸ばし、トータル18アンダーで逆転優勝。2位に3打差をつける快勝で今季2勝目、自身初の年間複数回優勝を達成し、2週間ぶりに賞金ランク1位に返り咲いた。

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小平は3番パー5の3打目をスピンが効いた球で約1メートルにつけバーディを先行させる。6番パー5の2打目ではグリーン手前の池に落ちてしまうかと思われたが、ギリギリ縁で踏みとどまり、アプローチを約2メートルに寄せてさらにスコアを伸ばす。続く7番パー3ではティショットをピン右手前約3メートルにつけバーディ。美保夫人や関係者からの大きな歓声でギャラリーもさらにヒートアップ。観客を味方につけた小平は8番パー4でもセカンドを約1メートルにつけ3連続バーディ。首位を走るスンス・ハン(米国)を前半で捉えることに成功した。

折り返しても勢いはとまらず、10番、11番で連続バーディを奪って後続を突き放す。13番ではボギーとしたが、その後はまったく危なげないプレーでスキを見せることなく、歓喜の瞬間を迎えた。

妻と一緒にトロフィーを掲げ、「最高です。狙っていた試合の1つなので、メチャクチャ嬉しいです」と喜びを語った。昨日の18番でも池に入ったかと思ったボールが、傾斜を転がり落ちずに踏みとどまり、バーディ締めにつながった。「昨日の18番から運があると思った。あそこから(ゴルフの)神様に“もう少し頑張れ”と言われているような気がした」。この日の6番でも同じようなことがあり自分が“持っている”ことを再確認。また、この日は2打目地点で中途半端な距離が残らず「すごくぴったりの距離が残ってくれた」と、フルショットでピッタリ合う距離が残ったことも幸運だった。運を呼び込むために小平は、普段からコースの内外で「マイナスなことを考えない。口にしない」ことを意識しているという。

運だけではなく、昨日のホールアウト後、練習場でのショット調整も奏功した。「ツマ先体重になっていたので、カカトに体重を乗せるように。引っ掛けがなくなりました」。飛んで曲がらないショットが小平の最大の武器だが、3日目の8番ではドライバーが引っかかりセカンドがグリーンを狙えない場所にいってしまうなど若干ブレがあった。この日はそれもまったくなくなり、「ショットのおかげで波に乗れた」と逆転優勝の大きな力となった。

賞金ランク1位に返り咲いたが、小平にとっては年末までに世界ランクを50位以内に上げて来季の海外メジャー「マスターズ」に出場することが最大の目標。この勝利で現在の62位から52位付近まで上昇する見込みだ。来週は世界ランク4位の松山英樹や同7位のブルックス・ケプカ(米国)らが出場する「ダンロップフェニックス」。ワールドランキングポイントも大きくなるので、ここで上位に入れば目標達成に大きく前進できる。「去年もトップ10(9位)に入っていますし、ショットメーカー有利で向いていると思う。意識している大会の1つなので優勝したいですね」。この勢いにのって狙うは2週連続優勝だ。

「トレーニングや練習は人には負けないと思っている。ゴルフにきちんと向き合えているし、年々着実に力がついていると思います」。初優勝を遂げた2013年は平均パット数1.8030で64位だったが、年々順位を上げて今季はここまで1.7436で2位につける。リカバリー率も昨季、自己最高の60.85%(34位)となったが、今季はそれを上回る64.37%(14位)で、ショートゲームの技術が向上していることが分かる。その結果、現在平均ストロークは69.84で1位。21試合の出場でトップ10フィニッシュは14回で、予選落ち無しと安定感で並ぶものはいない。本人に興味はなさそうだが美保夫人は08年の賞金女王で、もし小平が戴冠すれば史上初の夫婦賞金王となる。しばらくゴルフ界の主役は小平夫妻になりそうだ。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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