背番号4を付けるには「最初見た時はおっと思いましたけど…」

 左利きのサイドバックとしてバヒド・ハリルホジッチ監督も期待を寄せるのが、川崎フロンターレのDF車屋紳太郎だ。

 10月のキリンチャレンジカップ2連戦で日本代表に初選出され、10日のハイチ戦でA代表デビューを飾った。代表1キャップながら、11月のブラジル戦(10日)とベルギー戦(14日)のメンバーに招集されるなど、ここにきてロシア・ワールドカップ行きのサバイバルレースに名乗りを上げている。そんな期待の25歳は、代表で大きなインパクトを受けた選手がいるという。

 178センチの車屋は決して大柄とは言えないものの、対人プレーに強く、スピードと足技を駆使したドリブルも持ち味としている。何より指揮官が評価しているのは、左利きのサイドバックである点だ。ただでさえ絶対数が限られる希少な存在だが、あらゆる能力を高い水準で備える車屋は魅力的に映ったに違いない。

 代表初招集からほどなくして欧州遠征のチャンスを手にした車屋は、「世界の強豪国と試合をして、もっと自分自身も成長しないといけない」と謙虚な姿勢を貫く。また、与えられた背番号4についても、「空いていた番号。前回も植田(直通)がつけていましたし、そんなにプレッシャーはないです。最初見た時はおっと思いましたけど…植田から引き継いだと考えています」と泰然自若だ。

 川崎では不動のサイドバックとして君臨し、リーグ戦2位のチームを牽引する一人だが、代表初招集の際にある選手のプレーを生で見て衝撃を受けたと明かす。

高い壁を前に「超えたい」宣言

 その選手とは、同じポジション争う先輩の長友だ。「前回の日本での親善試合をして、初めて長友選手のプレーを生で見た。自分との差をすごく感じた」と思わず漏らしている。さらに具体的な“差”について、次のように続けた。

「上がっていくスピード、体の切れ、アジリティーの部分で差を感じましたね。シンプルに“はえーな”と思いました」

 現時点で長友と自身の能力を分析すると、「全てにおいて劣っている」という結論に至るという。しかし、だからといって手をこまねいて待っているつもりなど毛頭ない。

「その距離をどんどん縮めたい。超えたいと思っています」

 高い壁を前にしてなお、高らかに「超えたい」と宣言した男は、11月シリーズでその差を縮めることができるだろうか。

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大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images