最近注目をあびているのが、仮想現実(VR)を利用したアトラクションだ。
新宿に国内最大級のVRエンターテインメント施設「VR ZONE SHINJUKU」が誕生し、東京ジョイポリスにも「ZERO LATENCY VR」ができた。また、VR映像化された「路上プロレス in 東京ドーム」がDMM.comバラエティVR部門で売れ筋1位を獲得したことも話題となっている。

かくいう筆者も「ガンダム THE ORIGIN」初のVR映像体験「機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア出撃」でシャア・アズナブルになってみたり、空間移動型体験VR「ABAL: DINOSAUR」でジュラシック・ワールドの世界を体験したりした。

先週、幕張メッセで開催されたアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC JAPAN 2017」でも、VRに関連したブースがあったので、ここで紹介しよう。


■SFチックな東京を車椅子で駆け抜ける「CYBER WHEEL」
「CEATEC JAPAN 2017」の会場内を歩いていて、ひと際注目を集めていたのが株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングスのブースだ。
ブースには、まるでSF映画に登場しそうな乗り物が置いてある。
これらの乗り物は誰でも体験できるようになっていた。
また、小池百合子都知事も、この乗り物には、東京都主催によるイベント「NO LIMITS SPECIAL 2017 上野」で、体験したのだという。

小池百合子都知事も体験済みならば、これは筆者も体験するしかない。

乗り物の正式名称は「CYBER WHEEL(サイバー ウィール)」。
パラスポーツの一つである車椅子マラソンやレースを、VRで楽しく仮想体験できる車椅子型VRレーサーである。

仕様は
・全長:2150mm 幅 820mm 高さ 630mm
・重量:45kg
・乗車定員:1名
・ボディカラー:マットダークグレー、グロスダークグレー、ウレタン樹脂塗装仕上げ
・シート:グラスファイバー製
・タイヤ&ホイール:グラスファイバー製、前輪 16インチ 後輪 26インチ




体験したVRは、車椅子型の専用コントローラーを操作して、5つのステージを駆け抜けるタイムトライヤルとなっていた。体感スピードは、世界の車椅子ロードレースと同じ速さが再現されており、パラリンピックのトップ選手のスピードを追体験できる。

ちなみに実際の車椅子マラソンの最高速度は60kmを越える。平均でも35kmというスピードで走行するという。
徒歩は4.8km/h、一般の自転車は15km/h程度、競技用のロードレース並の速度だ。
しかも、路面からの距離も低いため、体感速度はさらにあがると思われる。

さて、実際のVR体験だが、
・車体に乗り、VRを装着
・前傾姿勢になり、車輪についたハンドリムを手で回す
たったこれだけで、VR内に入り、レースを体験することができた。

実際にプレイヤーがするのは、車輪についたハンドリムをただひたすら手で回すのみだ。
ハンドリムは、VR映像とリンクしている。走行結果は、総合ランキングに表示される。
筆者も、かなり本気モードでハンドリムを回すことになった。




体験した感想だが、ここまで高速に画面が動くVRは初めてかもしれない。
非常にエキサイティングな体験ができたといってもいいだろう。
体験したVR映像は、西暦2100年の東京をイメージしたCG映像ということもあり、近未来を体験した気分にもなれた。ちなみに筆者のランキングは、前半は映像を眺めながら走行していたこともあり、総合75位だった。





■パラリンピックの正式種目をVRで体験する「CYBER BOCCIA」
さて、「CYBER WHEEL」の隣には、もうひとつ面白そうな「CYBER BOCCIA(サイバー ボッチャ)」があった。
「CYBER BOCCIA(サイバー ボッチャ)」は、ボッチャを手軽にどこでも楽しむためのプロジェクション&センシング パラゲームである。
スタッフによると、パラスポーツを“自分ごと化”させるワン・トゥー・テン「CYBER SPORTS」プロジェクトの第二弾とのことだ。




「ボッチャ」とは、
ヨーロッパで考案された重度脳性麻痺者、もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のためのスポーツ。
パラリンピックの正式種目にも選ばれている。

このスポーツは、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、それぞれ6球ずつ持っている青と赤のボールを投げたり、転がしたりして、ほかのボールに当ててジャックボールにいかに近づけるかを争う競技だ。




「CYBER BOCCIA」では、プロジェクション映像によるルール説明やゲーム演出、ボールの位置により変化するサウンドなど、五感をフルに活用した新しいボッチャを体験することができる。また、ボールを認識するセンサーによって点数は自動計算される。

残念ながら、筆者は時間の関係で体験することができなかったが、体験したプレイヤーたちは非常にエキサイティングしながらゲームを楽しんでいた。




スタッフの話では、本来パラスポーツは非常にエキサイティングで激しいスポーツなのだという。
それをエンターテイメントというかたちで伝え、体験会などを日本中で容易に実施したいという思いから、「CYBER WHEEL」を開発したという。

「CYBER BOCCIA」については、ボッチャをどこでも気軽に楽しんでもらいたいという想いから、設置や移動が容易にできるように開発を進めてきたそうだ。
現段階ではイベントでの実施を想定しているが、将来的には全国のバーやカフェ、アミューズメント施設への展開も検討している。


ITライフハック 関口哲司