が終わったら、次に候補者とのコンタクトだ。メールや電話で連絡を取るが、候補者は転職希望者でないこともあるため慎重に接触して面談を説得する。 求人サイトを利用する場合は、登録者にスカウトメールを出す機能があるのでふさわしい人材がいたならばこれを活用する。この場合は相手が転職希望者であるためコンタクトは容易だが、他の企業や人材紹介会社も同じデータベースを閲覧して利用できるため他社より早く連絡を取ったり、候補者から返信があるような関心を持たれるスカウトメールを出して面談に導く。 このようなさまざまな採用テクニックや社内の仕組みづくりが必要なため、これまでのリクルーティング体制では不十分なことが多い。採用以外の仕事も抱えている人事担当者が常に人材データベースを見たり、声を掛けた候補者に次々と会ってスクリーニングするような時間がないためだ。

 一部の大手外資系企業ではダイレクト・ソーシングに取り組むために専任のリクルーターを採用して成果を上げているが、そうした企業でもバイリンガル採用は困難を極めており、人材紹介と併用して人材を確保しているのが現状だ。 必要な人材を確実に採用するためには、人材サービスを有効に活用していくことが欠かせない。例えば人材紹介会社は成功報酬だからといって専門分野を理解せずに数十社に求人を出していては、時間が無駄になるばかりで必要な人材を採用できない。候補者の絞り込みをする人材コンサルタントには、求人内容や背景、社風やキャリアパスなどを正確に伝える必要がある。付き合いの浅い人材紹介会社にメールで求人案件を一斉送信しても意図はまったく伝わらない。人材紹介各社の特徴を理解し、優先的に人材を探し出してもらえる工夫が必要だ。

 複数の外資系企業で採用コンサルタントとして活動するキャリアエピソードの備海宏則社長は、「優れたコンサルタントを採用のパートナーとするためには、人材紹介会社やコンサルタントの情報を常に収集しておく努力が欠かせない。コンサルタントと定期的にミーティングを行うなど、信頼関係を築くための地道で継続的な活動が採用担当者には求められる」と話す。 一般的にヘッドハンティングといわれるリテーナー型のエグゼクティブ・サーチには、コンサルティングによって必要な人材要件を明確化し、広く業界の人材情報を集めて候補者を絞り込むサーチや採用したい他社人材にアプローチする指名サーチなどがある。リテーナーとは着手金を支払う方式でサーチに失敗した場合は着手金は戻らないため、利用にあたってはコンサルティング方針
やサーチの手法をしっかりと確認して信頼できるサーチ会社を選ばなければならない。

 今、日本の中途採用市場は人材争奪戦で、従来の採用手法では応募が集まらない。複数の企業からオファーを受ける候補者も多く、内定辞退も続出している。一方で採用担当者は採用業務の効率化や採用のスピードアップも図らなければならない。こうした課題を解決するため、採用チャネルの多様化やプロセスの最適化などを支援する新しい手法を提供するサービスも出てきている。必要な経験やスキルを持った人材を獲得するためには、様々な採用手法を適切に組み合わせて自社の採用力を高めることが急務となっている。