「フィジカル重視のサッカーよりはやりやすいかなと。ただ、自分たちはプレスをはめに行ったら、やっぱり蹴ってくるっていうのもありますし、無理して全員が蹴るかもしれない」とキャプテンは臨機応変な対応の重要性を強調する。最初は後ろから柴崎らアジア最終予選経験のない選手を動かし、組織的プレスを仕掛けていくだろう。逆三角形の中盤だと特にアンカーの脇は狙われやすいため、そのスペースをきちんと埋めることも徹底する必要がある。ただ、相手の出方によっては違った指示をしていかなければ、穴が生まれてしまう。そういう危険をいち早く察知し、素早く修正を図っていくことこそ、絶対的リーダーに課せられた責務なのだ。

「この最終予選は初戦のUAE戦で負けてから1試合も落とせない試合が続いた。本当にヒリヒリするような戦い、ホームのイラク戦も最後の最後で勝ったり、アウェイのUAE戦もそこで落としたもう厳しいって状況にもなった。そういう厳しい戦いの中、監督自身はいつもより落ち着いてるかなと。それに明日やりたいサッカーを選手にハッキリと伝えている。そこは非常に明確」と長谷部は話したが、キャプテンはその意図を的確に伝える「ピッチ上の指揮官」にならなければいけない。

 卓越した統率力とリーダーシップを背番号17がいかんなく発揮し、連動した中盤を形成できた時、日本はワールドカップ切符を手にしているに違いない。

文=元川悦子