現在の中国において、「安く早く移動できる交通手段」といえば、多くの中国人が高速鉄道を挙げるだろう。すでに中国全土に伸びた高速鉄道網はもはや、中国人にとってなくてはならない存在になったと言えよう。
 
 高速鉄道の輸出をめぐって、日本と中国は熾烈な戦いを繰り広げている。中国が約10年という極めて短い時間で高速鉄道産業で頭角を現したことに対し、中国人は自国の高速鉄道産業に大きな自信をいだいているようだが、中国メディアの今日頭条はこのほど、「中国高速鉄道は世界標準になる」と主張する記事を掲載した。
 
 記事は、「中国高速鉄道はもはや世界をリードする立場になった」と説明し、米国では真空のチューブ内を高速で走行する次世代高速鉄道の構想があるとしながらも、「同様の構想は中国西南交通大学でも研究が行われていて、米国の構想よりすぐれている」と主張した。
 
 さらに、現時点で存在する高速鉄道の規格においても、中国高速鉄道は時速350キロメートルで営業運転が可能だと指摘。新幹線の営業運転は一部区間で時速300キロメートルを超えるが、中国はそれを上回る速度で営業運転が可能であることを主張した。
 
 また記事は、中国高速鉄道の優れている点として、線路の「軌間と曲線半径」を挙げ、「線路の幅が広く、カーブの半径が大きい中国高速鉄道は高速で走行できる」と主張。続けて、高速鉄道網の規模についても、「日本は東海道新幹線と山陽新幹線を足しても1000キロメートルほどだが、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道は1318キロメートル、北京と広東省を結ぶ京広線は2118キロメートルにも及ぶ」ことを紹介し、総合的に言えば中国高速鉄道は新幹線に劣ることはなく、非常に優れた高速鉄道であるとした。
 
 記事は主に中国高速鉄道の「規模」から、「世界をリードする存在」であると主張しているが、確かに規模をさらに拡大していくことで中国高速鉄道の規格が将来的に世界標準となってしまう可能性は否めない。中国高速鉄道の輸出事業における強みは中国の地理的位置にあり、中国周辺国にとっては高速鉄道で中国と結ばれることは中国経済の成長を享受できることにつながるため、中国と高速鉄道で結ばれる国は今後増えていくだろう。
 
 中国は自国を中心とした経済圏を構築する「一帯一路」戦略を推し進めており、中国高速鉄道で中国と欧州を結ぶ構想もある。これが実現すれば、中国高速鉄道は事実上の世界標準となる可能性はありそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)YangYu/123RF)