開けたことのない引き出しを開けて未知の領域へ



――その後も、役者ならば、誰もが演じてみたいと思うような魅力的かつ個性的な役柄が続きました。

劇場版『MOZU』に『ピース オブ ケイク』、連続ドラマでは『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)も大きかったですね。童貞役というのも初めてだったし(笑)。最近では、舞台『娼年』もそう。作品自体、いままでやったことのないテイストで、演出家の三浦大輔さんとも初めてでしたが、刺激的な経験をさせていただきました。

――先ほどからおっしゃっている「自分に課すハードル」というのは、具体的にどういうものなんでしょうか?

予想もつかない部分がどれだけ大きいか? ということですね。「この役、全然わかんないですね」「どうなるのか全然想像がつかないです」という、未知の領域がどれだけ大きいか? これまでの自分のすべての経験値を駆使しても、先が見えない――そういう瞬間にハードルがものすごく高くなるのを感じます。



――もしも、そんな状況に置かれたら…? と想像すると、怖くなりますが…。

怖いですよ、実際(笑)。でも、想定の範囲内のものが来ると、それまでの経験に頼ってしまうんですよね、どうしても。そんな経験が役に立たない状況で、まったく新しいものを自分で作る、開けたことのない引き出しを開ける――そういう状況に身を置くことで成長できるんじゃないかと思ってます。

――そうなると、具体的な役作り、役へのアプローチは毎回、異なるんでしょうか?

役作りって難しいですね…。もはや、自分の中でも何が役作りなのか、よくわかんなくなってます(笑)。それでも、何かを見つけるしかないんですよね。たとえば『MOZU』でいうと…。



――狂気的な殺人犯の権藤 剛ですね。

もちろん、実体験で人を殺めたこともないし、どういう感覚なのかまったくわからない。どうしたものかと思ってましたが、僕は普段から絵を描くのが好きで、よく自分でも描くんですけど、ある瞬間に「あぁ、これだ!」と。

――これ?

彼が殺人を犯すというのは、画家たちが絵を完成させるためにいろんな絵の具を混ぜたりする、そんな感覚なのかもしれないなと。彼の中では殺人というのは人道に反するとかそういうものではなく、ひとつの作品を作る上でのプロセスのようなものなんだ。「よし、その線でいってみよう!」と。

――外見や肉体的な部分よりも、やはり内面や生理が重要なんでしょうか?

もちろん、見た目も大事ですけど、やはり内面的な部分から得るものは大きいですね。なぜ、この人はこういう行動をするのか? のどが渇いたら水を飲むような、ごく自然な生理があるはず。演技で、その無意識の境地にまで達したことはなかなかないですけど、そこに少しでも近づくために、あれこれ考える作業は必要なのかなと思います。





「この人のために!」と思ってもらえる吸引力を



――“ゆとり”という言葉に代表される、世代についての話は、『ゆとりですがなにか』の際にあちこちで尋ねられたかと思いますが、年齢を重ねるということに関しては、どんなことを感じてらっしゃいますか?

ここ数年、まさに年齢ってことについて考えることが多いんですよね。特に2017年は20代最後の年に差し掛かるので、自分の中では“20代最後の大勝負”をかける年だなと思っている部分があって。

――20歳でこの仕事を始めて、20代のほぼすべての時間を俳優という仕事に費やしてきました。

20代は、これから30代で仕事をしていく上で必要な時間だったんだなと思います。20代でしかできない役柄――それはパブリックイメージに沿ったものも、そうでないものも含めてですが、チャンスがいただけるならとどんどん挑戦してきました。そのほうが、30代が絶対に楽しいじゃないですか! という意識で、いろんなことをやってきましたね。



――パブリックイメージに関して言うと、もはや最近の個性的な役柄の印象が強くて、20代前半の頃とはまた違ったものになっているのでは? と思いますが…。

どうなんでしょうね…? 「松坂、最近いろいろやり始めたじゃん」って感じですかね?(笑)

――そうした声は松坂さんにも直接、届きますか?

最近、監督さんやプロデューサーからよく言われるのが「松坂くん、こういうのやっていいんだ?」ですね(笑)。「こんなのは松坂桃李はやらないでしょ?」という目線で見られていたのか…といまさらながら、ちょっと衝撃を受けてます(苦笑)。

――役柄の変化とともに現場での立ち居振る舞いなども変わりましたか? 以前、『シンケンジャー』や『ガッチャマン』でセンターポジションに立っているにもかかわらず、みんなを引っ張るようなリーダーシップはまったくないとおっしゃってましたが…。

そこはまったく変わってないです(苦笑)。むしろ、タイプが違うんだなということに気づきましたね。



――タイプ?

たとえば、僕がこれまでご一緒した方では、唐沢寿明さんや天海祐希さんはまさに“リーダー気質”を持っていて、現場でみんなをグイグイ引っ張るタイプのリーダーです。もうひとつは、周りの人間が「こいつをリーダーにしてやろう」と思うようなタイプのリーダー。

――周囲が担いでくれるタイプですね?

『軍師官兵衛』などでご一緒した岡田准一さんは、まさにそう。「この人のために!」と周りに思わせる吸引力があるんです。阿部 寛さんも、実はこっちのタイプだなと思います。僕も自分がみんなを引っ張るリーダー気質を持ち合わせてないことは、よくわかってますから(笑)、「こいつをリーダーにしてやろう」って思っていただけるようになりたいです。



【プロフィール】
松坂桃李(まつざか・とおり)/1988年10月17日生まれ。神奈川県出身。A型。2009年、『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)にてシンケンレッド役でデビュー。映画『ツナグ』、『今日、恋をはじめます』などで立て続けに主演を務める。2012年、NHK 連続テレビ小説『梅ちゃん先生』でヒロインの夫を演じ話題に。その後も『日本のいちばん長い日』、『ピース オブ ケイク』、『図書館戦争 THE LAST MISSION』など話題作に出演。2017年1月22日には主演ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系)がスタート。2018年には主演映画『不能犯』の公開も控える。
【公式HP】http://www.topcoat.co.jp/artist/matsuzaka-tori/
【Twitter】@MToriofficial


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1月28日(土)から全国ロードショー!
http://kiseki-movie.com/


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■受付期間:2017年1月25日(水)12:00〜1月31日(火)12:00

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