速乾性の高いドライヤーの重要素のひとつとしてあげられるのが、「大風量である」ということ。たしかに、風量の少ないドライヤーよりも、風量の多いドライヤーを使用した時のほうが、乾きが早いと感じます。そのため、「ヘアドライの時間を短縮したければ、とにかく風量の多いものを使用するべき」と思っていました。しかし、9月にモッズヘアから発売された「アドバンセド イオン ラピッド MHD-1252」(以下、イオン ラピッド)は、大風量でなくても、風のスピードを上げることですばやく乾かすというドライヤーです。本当に風速が速いと乾きも早くなるのでしょうか。さっそく試してみました。

速乾の秘密は、髪の根元までまっすぐ届く風

モッズヘアによると、ドライヤーは風量が多いと髪に届くまでに風温が低下しやすいため、髪を乾かすのに時間がかかることがあるのだそう。そこで「イオン ラピッド」では、髪の根元まで勢いよく届く直線的な風を作り出し、髪を乾かすのに十分な温度を保ったまま髪に届くようにしたそうです。

「イオン ラピッド」の最大風量は1.3m3/分なので、決して少なくはありませんが、近年では、最大風量2.4m3/分なんていうドライヤーもあるので、そこまで大風量とも言えません。ヘアドライのモードは、髪が多い人やロングヘア向けの「高風速モード」、ノーマルな速乾力の「中風速モード」、セットやパーマヘア向けの「低風速モード」を用意(いずれも風速は非公表)。マイナスイオン放出機能が搭載されているため、髪をいたわりながら乾かすこともできます。

本体サイズは、230(幅)×225(高さ)×90(奥行)mmで、重量は約580gと、ごく一般的なサイズと重さ。風温は最高120℃、消費電力が1200Wです。コードの長さは約1.7m

吹き出し口手前に搭載された「整流リング」によって風の広がりを抑え、頭皮までまっすぐ届けます※画像はメーカーサイトより

モード選択を行う電源スイッチは、手の感覚だけでも操作しやすいスライド式です。電源スイッチの上には、マイナスイオン放出機能のオン/オフの設定ボタン。風温(温/冷)はその下のボタンで選択します

吹き出し口に付けて使用するセットノズルとコームノズルが付属します

ハンドルは折りたたむことができるので、省スペースで収納可能

同じ風量のドライヤーと比較すると、乾きは早い?

さっそく、風速が速いと乾くのも早いのかを検証してみましょう。今回は、「イオン ラピッド」を使用した場合と、同じ風量のドライヤーを使用した場合で、胸までのロングヘアが乾く時間を比べてみました。比較用に使用したドライヤーは、風量が同じ1.3m3/分で、風温は125℃(「イオン ラピッド」より5℃高い)です。

まずは「イオン ラピッド」から。洗髪後、しっかりタオルドライした髪を乾かしていきます。風の勢いは確かにまっすぐで速く、髪の毛はなびくというより吹き上がり、地肌に“シュパーン!”と命中する感じがしました。タオルドライの状態から、完全に乾くまでの時間を計測したところ、4分43秒でした。

おおよそ乾いた状態の髪の毛は、根元から直線的に吹き上がります

次の日の洗髪後、同じ要領で比較用のドライヤーを試してみました。「イオン ラピッド」に比べて、風の吹き出し範囲がかなり広く感じます。風温も高いので、暖かい風が頭を包み込む感覚。タオルドライの状態から、完全に乾くまでの時間は、4分50秒でした。「イオン ラピッド」のほうが7秒ほど早いという結果ですが、誤差の範囲でしょう。

「イオン ラピッド」に比べて風圧が弱いため、髪は根元と毛先の中間から舞い上がっています

ロングヘアでの検証の結果では、髪が乾くまでの時間にさほど差は出ませんでした。しかも、「イオン ラピッド」の場合、まっすぐな速い風が頭皮にダイレクトに当たるので、長い髪の毛先を乾かすのに若干不利なようにも感じました。ただし、比較用のドライヤーは「イオン ラピッド」より5℃も風温が高いというアドバンテージがあることを考えると、風速によって速乾性が高まったと言えるかもしれません。

では、髪が短い場合はどうでしょうか? 髪の長さ10cmほどの男性に試してもらったところ、こちらも「イオン ラピッド」が1分44秒、比較用のドライヤーが1 分32秒と、あまり差はありませんでした。ただ、使用した男性によると、乾かす時間はほぼ同じでも、その使用感はまったく違うというとのこと。「イオン ラピッドの場合は頭皮をすばやく乾かしてくれるし、風の温度が低いので、頭皮が蒸れないのがよい。同じ時間ならイオン ラピッドを選ぶ」という意見でした。

頭皮環境を気にかける人にとっては、低い温度で頭皮をすばやく乾かせるのはうれしいのだそう

付属品なしでハンズフリーにできるのと、コームノズルが◎

速乾性の検証では、長い髪の場合は高速風の恩恵を受けにくいと言いましたが、決して「イオン ラピッド」が長い髪への使用に向いていない、というわけではありません。「イオン ラピッド」は付属品不要で自立したり、ブラシを使わず簡単にブローできる「コームノズル」が付属するといった、ロングヘアにうれしい仕様になっているのです。

1段階ハンドルを折れば、スタンドなどを使用しなくても自立させることが可能。ハンズフリーで使用できます

あとひと息で完全に乾くかな? というタイミングでブラシノズルを付け、ブローするようにとかします。個人的には、ヘアブラシを使ってブローするよりも手軽に感じました

ヘアドライの終盤にブラシノズルを使用するだけで、仕上がりのまとまり感にかなり差が出ます。写真では伝わりにくいですが、ブラシノズルを使用したほう(右)は、手触りもさらさらです

まとめ

「イオン ラピッド」のヘアドライのスピードは、同じ風量のドライヤーと比べて格段に速いかというと、明らかに体感できるレベルではないというのが正直なところ。しかし、「イオン ラピッド」より5℃も風温が高いドライヤーと比べても、乾く速度が変わらなかったので、風速が速乾性に寄与しているとは言えそうです。また、頭皮の健康のためには、低めの温度の風ですばやく乾かすのがよいとされているので、頭皮にやさしく、短時間で乾かせるのはポイント。夏場や、風呂上りに汗をかいた状態でも爽快に乾かしたいという人に向いていると言えそうですね。

また、速乾性以外に魅力に感じたのは、付属品などの使いやすさ。スタンドがなくても自立させられる点や、ドライヤーだけでブラシを使ったようにブローできるコームノズルは実用性が高いと感じました。ドライヤーは毎日使用するものなので、こういった細かい仕様も、製品選びのポイントになりそうです。


>> 大切なのは風の量より速さ? モッズヘア「イオン ラピッド」の速乾力をチェック の元記事はこちら