日本人の食にかける情熱は並々ならぬものがあり、品種改良にも余念がない。ぶどうもその1つで、2016年は石川名産の品種「ルビーロマン」に初競りで110万円という高値がつき話題となった。1房には約30粒の実があったことから、1粒あたりの単価は何と約3万7000円の計算だ。

 ルビーロマンは、巨峰の2倍もある大粒と、その名のとおり宝石のような赤い美しさが特徴で、18度以上の糖度と、1粒の重さ20グラムという厳しい基準をクリアしたものだけが出荷されているという。

 日本ではさまざまな農作物で品種改良が行われているが、中国では日本のような取り組みはあまり見られないようだ。中国メディアの今日頭条は12日、日本はこのような高級ぶどうを開発し、生産することができるのに「なぜ中国のぶどう農家にはできないのか」と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、日本と比較すると中国のぶどうは非常に安価であると紹介し、中国の農村部では「生涯のうちに食べるぶどうの代金をすべて足しても、ルビーロマン1粒以下」であると指摘した。一方の日本は、ぶどうだけではなく、米や牛肉などの農産物は全体的に味が良く、高級ブランド品を作り出すことができると指摘した。

 なぜ日本の農家は「超高級の農産物」を作ることができるのだろうか。記事は、日本は「国土面積が小さく人口が多い」ため、生き残りをかけて品種改良や技術革新に取り組み、「高級農産物の発展に集中」してきたためではないかと考察。そのため、中国のみならず米国の農家でさえ日本の農作物の質には追いつけないほどだ、と日本の農家の努力を称賛した。

 中国では食の安全問題が解決せず、農業も大規模生産ができないため収入が低いのが現状だ。そのため農民の多くが都市部へと出稼ぎに行き、農村部に残るのは高齢者と子どもばかりだと紹介。これでは中国の農業は「改善」すら遠のくばかりだと嘆いた。

 農家の収入や後継者問題は国を越えた共通の悩みの種だが、「ルビーロマン」は、石川県が14年の歳月をかけて開発したと報じられている。中国も農業を発展させるためには日本のような官民一体となった改革が必要なのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)