日本経済の行く先に関する中国メディアの言論で、必ずと言っていいほど言及されるのが、日本社会が抱える深刻な高齢化の問題だ。老いてもなお死ぬまで働かなければならない、というネガティブな捉え方をされがちだが、望んで「生涯現役」を貫く人だってたくさんいるのだ。

 中国メディア・今日頭条は6日、日本で96歳にしてなおも現役で化粧品の販売員を続ける女性について「敬服せざるを得ない」と紹介する記事を掲載した。記事が紹介したのは、大手化粧品会社・ポーラで化粧品の販売や美容アドバイスを行う美容部員「ポーラレディ」として50年以上にわたって活動している96歳の女性だ。

 記事は、今の日本ではタクシー運転手や警備員、不動産管理員、清掃員などに従事する高齢者をよく見かけるとし、高齢化に伴って80歳近くになっても仕事を続ける人が珍しくなくなっていると紹介。そのうえで、同女性のことは「経済上仕事をしなければならない多くの人と異なり、個人の興味で仕事を続けている」と説明した。

 そして、1964年に44歳で「ポーラレディ」となった同女性が持ち前の明るい性格と見事なトークによって82歳まで毎月100万円以上の売り上げを記録してきたと伝えた。また、今でも好みや年齢、健康状況、購入習慣などといった顧客の情報をしっかりと把握しており、顧客の心をしっかりと掴んでいることを紹介した。

 さらに、同社の最大の特徴として「定年退職年齢を設けていない」点について言及。「ポーラレディ」には90歳以上になっても働いている人が数百人いる事を伝えている。

 記事は、中国では半生をあわただしく過ごした多くの人が、悠々自適の老後生活を過ごしたいと考えている一方、中国も2040年には60歳以上の人口が約4億に達することが見込まれる高齢化社会に突入していると指摘。「いかにして正しい態度で高齢化と向き合い、高齢者に穏やかで彼らにふさわしい仕事を与えると同時に、若者にかかる圧力を軽減するか」について、真剣に考えるべきであるとの見解を示した。

 「生涯現役」の道を行く「ポーラレディ」の存在は、中国の人びとに「日本の高齢者は元気な人が多い」というイメージを与えるとともに、「美しさに対する日本人女性の追求は、年齢を重ねても衰えることはない」という点においても感じ入る点があるのではないだろうか。著しい高齢化が避けられない状況のなかで、いかに高齢者に生き生きと生活してもらうか。それが、日中両国の社会に課せられた共通の課題なのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)